「役員の仕事が大変」という理由で、自治会に入らない人もいるだろう。しかし地域によっては入らないとゴミ収集所の利用でトラブルになることもあり、難しい問題だ。ガールズちゃんねるに1月中旬、「町内会の見守り隊に任命されました」というトピックが立ち注目を集めた。
トピ主は20数世帯の新興住宅地に住んでいるという女性。町内会に入っているものの、「子どもが保育園児と1歳児で共働き」のため、夜の集会や年4回の掃除には参加していない。掃除不参加の場合はお金を払って免除されているようだ。
トピ主がケガで入院中に町内会の役員決めがあり、夫は子どもの世話のため不参加で委任状を出した。すると退院後、会長が訪ねてきて「見守り隊(小学生の朝の登校の旗当番)になったので、よろしくお願いします」と告げられたという。
それは「週2回2年間担当」しなければならず、トピ主は
「旦那は7時前に家を出発し、私は7:40頃保育園に預けてから出勤するので、7時過ぎからの当番は正直キツすぎます」
と嘆いている。(文:okei)
「めっちゃめんどくさい所に住んでるね…」
トピ主はどう考えても難しい状況に「辞退させて欲しい」とお願いしたが、「決まった事なので難しいと言われてしまいました」とのこと。やむなく了承したらしい。ただ、衝撃冷めやらぬ様子で「解決方法があれば教えてほしいです」と相談していた。
筆者も子どもが小学生の間は旗当番をやった経験がある。朝の忙しい時間帯に道路に立つのは、数分とはいえ大きな負担だ。それでも私は半年に1度くらいの交代制だったが、乳幼児の世話と仕事もあるトピ主が週2回で2年も担当するのは、無理だと嘆く気持ちはよく分かる。
トピック内の反応は、「引っ越しな!」をはじめ、やはり驚きと同情の声が相次いでいた。
「入院してる人を当番に選出するって酷いな」
「旗当番って持ち回りじゃないの!?週二回2年は厳しすぎるね」
「めっちゃめんどくさい所に住んでるね…。うちかなり田舎だけど、地域の掃除っていうか草取りとか自由参加だし、見守り当番なんてないよ」
このほか、「小学生がいる家庭に限定したらいいのに」「『子どもが小学生になったらやります』って言えばいい」といったコメントも多かった。こうした活動は地域によって大きく仕組みが違うため、事前に調べてからうるさくない地域に引っ越したという人もいたくらいだ。
文科省は「ライフスタイルに合わせて無理なく活動しましょう」と呼びかけ
一方で、トピックには「今さら遅いけど 夜の集会やお掃除に参加しとけばよかったのに」など、トピ主に批判的な声もそれなりに入っていた。
「アレもしたくない!コレもしたくない!ソレもできません!じゃあ、何ならできるのさ?」
「忙しいのはどこも同じ。ずっと逃げ続けるのはよくないよ。参加できるように努力することも必要では」
といった厳しい指摘だ。夫が委任状を出してしまった以上、押し付けられても仕方ないという声もチラホラ。確かに、事情を汲んでもらうためには参加していないと難しいという主張も分かる。
とはいえ、これらの批判は酷だろう。トピ主は批判を含めた多くの意見に、ファミリーサポートを使うなどして「2年間務めます」と謝罪していた。これに同情を示し
「時代に合わせて簡略化していかないと現代人には苦ですよね、少子化の大きな一因だと思いました」
と励ます声も寄せられており、筆者も同感だ。
そもそも、委任状を出しているとはいえ、その場にいない人に有無を言わさずに重い仕事を押し付けるのはどうなのか。トピ主の場合は入院だったが、仕事があったりすれば会合に出られないときが出てくるのも当然だろう。
なお、文部科学省は「登下校見守り活動ハンドブック」(2021年)の中で、
https://www.mext.go.jp/content/20210405-mxt_kyousei02-mext_01335_01.pdf
「時間帯や頻度、方法はライフスタイルに合わせて無理なく活動しましょう。」
「各自が少しずつ、できる範囲で子供や地域に目を向けることが大切です。」
と注意点を示している。また、互いに強制することなく楽しみながら活動するよう促していた。
地域で安心して暮らすためのコミュニティであるはずの自治会や町内会が、却ってそこに住む人を追い詰めるようでは本末転倒だ。仕組みから丁寧に考え直す必要があるのだろう。