2024年01月12日 10:11 弁護士ドットコム
朝のラッシュで座席を確保するため、目的地と逆方向の電車に乗って終点まで行き、そのまま"始発"に乗る「折り返し乗車」。有効な乗車券を持っている場合は問題ないが、「不正」となるケースも少なくない。
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新宿駅から本八幡駅まで、東京と千葉を東西につなぐ都営新宿線は、新宿方面から来た電車が終点の本八幡駅で新宿方面に折り返す。そのまま乗車しつづけることをやめるよう呼びかけており、乗客は一旦降車してから再び新宿方面行きに乗車することになる。
しかし、都営地下鉄を運営する東京都には「折り返し乗車する人が多く見られます」という苦情が寄せられている。折り返し乗車した場合、どのようなペナルティが用意されているのだろうか。東京都に取材した。
都に寄せられた声に東京都交通局が答えている。公式サイトで2023年12月21日に公表されたQ&Aが閲覧できる。
【都営新宿線本八幡駅における折返し乗車について】
朝6時台に都営新宿線本八幡駅を利用するという人からの声だ。
「新宿方面からの終点駅であるため、下車せずにそのまま折返し乗車する人が多く見られます。この時間帯の折返し乗車は認められているのでしょうか。認められていない場合、改善を求めます」
この問い合わせを受けて、交通局は次のように回答している。
「都営地下鉄では、折返しの電車への引き続きの乗車は御遠慮いただいており、車内放送、駅構内掲示物や巡回等を通し、一度ホームに降りて整列してから御乗車いただくよう、お客様に御協力をお願いしております」
通勤で本八幡駅を利用する40代女性は「たしかに折り返し乗車する人は見るかも」と話す。
「電車が本八幡に到着したら、係員が端から端まで確認してから乗客が一旦全員降ろされるようになっている」
降車確認が済むとホームドアが閉まり、また開いてから乗車が始まるという。
「たまに寝ている人とかもいるけど、起こされて降ろされる。とにかく全員降りないとホームドアが閉まらない」
また、本八幡駅のホームでは「終点駅での引き続きのご乗車はご遠慮ください」として折り返し乗車への注意を張り紙で呼びかけている。そこには「有効な乗車券をお持ちの上ホームに一旦降りて再度ご乗車ください」という記載もある。
本八幡駅の折り返し乗車には、何かペナルティがあるのだろうか。東京都交通局に聞いた。
——都営新宿線本八幡駅での折り返し乗車は認められないのでしょうか
都営新宿線本八幡駅では、基本的には一度ホームに降りてもらって、再度乗車してもらっています。「一度降りてください」というご案内をしています。
「折り返し乗車」をまったく認めていないわけではありません。有効な乗車券をお持ちであれば問題ありません。
——「有効な乗車券」とはどのような乗車券を指すのでしょうか
わかりやすく言えば、本八幡駅区間を含む乗車券です。たとえば本八幡~新宿間の切符や定期券、地下鉄全線定期券などもあります。
本八幡駅区間を含んでいれば、再度の折り返し乗車ができます。
本八幡駅区間を含んでいないのに、折り返し乗車すれば、それは基本的にはペナルティの対象となります。正規の普通運賃と、その2倍の割り増し運賃、合わせて3倍の運賃をいただきます。これは他の鉄道会社さんと同じ扱いかと思います。
ただ、これも個別の事情をうかがった上で、悪意をもった不正だと認めた場合の対応です。
「間違えちゃった」「寝過ごしちゃった」という事情がわかれば、不正の対象としていません。
また、本八幡駅で一度降りていただいて、乗り越し精算すれば不正にはなりません。
——本八幡駅で折り返し乗車する人の存在を把握されていますか
朝のラッシュ時間ですと、何人かはいらっしゃいます。たとえば本八幡の隣駅の篠崎を最寄りとしている方が、確実に座って通勤するため、始発駅の本八幡で一度下車して、改めて新宿方面に向かうようなケースも考えられます。
ただ、その場合でも篠崎~新宿間の乗車券(定期券)では、不正となります。有効な乗車券はあくまで本八幡を区間に含むものですので、ご注意ください。