「劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』」の公開直前記念・完成会見イベントが、本日1月10日に東京の丸の内ピカデリーで開催された。
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1月26日に公開される「劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』」は、C.E.75を舞台に、ラクスを総裁として創設された世界平和監視機構・コンパス、新興国ファウンデーション、ブルーコスモスらによる戦いを描いた物語。舞台挨拶にはキラ・ヤマト役の保志総一朗、ラクス・クライン役の田中理恵、シン・アスカ役の鈴村健一のほか、「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」からの新キャラとなるオルフェ・ラム・タオ役の下野紘、グリフィン・アルバレスト役の森崎ウィン、主題歌「FREEDOM」を担当した西川貴教、仲寿和プロデューサー、福田己津央監督が登壇した。
ステージに立った福田監督はまず、観客に向けて挨拶。「この20年間で公私ともにいろんなことがありましたが、僕としては2年か3年くらいしか経ってないくらいの気持ちでがんばって作らせていただきました。おかげで気持ちも若くなりました」とコメントし、続けて「僕もう7、8回は観ました。だから、大丈夫です。私で(何度も)いけるんだから、皆さん20回ぐらいはいけると思います」とジョークを飛ばして観客を笑わせた。
「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」から20年が経過し、このタイミングで新たに「機動戦士ガンダムSEED」シリーズに触れる人たちのために、イベントでは福田監督や保志たちがシリーズの見どころをいくつかのポイントに分けてトーク。まず物語の主軸となる、ナチュラルとコーディネーターの戦いについて福田監督は、「人の持つ差別意識はどんなものかというものを表現しています。まったく差別意識のないラクスと、差別的な発言をばりばりしているフレイとで差が出ると面白いなと思っていました」と説明した。
差別意識がなく聖人のような人物と表現されたラクスについて、田中は「『SEED』のときは歌姫として出てきて、歌で対話するという、ふんわりして掴みどころのないキャラというイメージでした。でも『DESTINY』ではデュランダルと対話するような、しっかりした人物という一面がありましたね」と振り返る。МCから
先日開催されたイベントで「『FREEDOM』を制作してラクスがより好きになった」と話していたことを明かされた福田監督は「大好きなキャラですよ。今回のラクスはかなり人間っぽさや、普通の女の子っぽいところを出したいと思っていました」と述べる。このイメージは田中にも共有されたといい、田中は「ノーと言うところはノーと言う。これまでと違うラクスを演じることになりました」と語った。
続いてのポイントは、親友でありながら敵同士となってしまったキラとアスランの関係について。「本当にキラは保志くんっぽくて、アスランは本当に石田(彰)さんっぽい」という福田監督のコメントに、保志は「僕が演じることによって、なんだかそういったふうにキャラを育てたのかなと思いますね」と返す。福田監督は「それはそうだと思う。保志くんがどう感じるかをフィードバックしながら演出も変えたし。でも、みんなキラとアスランは仲がいいって言うけど、自分としては全然仲いいと思えないんだけどな。最終的にキラがいつも我を通してアスランが面倒を見る立場になってない?」と指摘。保志が「そうですかね?」と苦笑すると、福田監督は「“アスランたらし”ですよ。今回の映画で痛い目を見ればいいんですよ」と言い放ち、保志を笑わせた。続けて保志は「やっぱりアスランとのドラマはいろんな山場がありましたね。でも今回さらにいろんなドラマがあるので、台本を見てて一瞬アスランのことを忘れたことがありました」と明かす。公開前でネタバレに気を使いながらのイベントということもあり、保志のコメントを聞いた下野は「大丈夫ですか!? 今かなりすれすれのことを言ってますよ!」と焦りの表情を浮かべていた。
続いて、物語を通じてお互いの信頼度を高めていくキラとラクスの関係が3つ目のポイントに。МCから「2人の間にあるのは愛情ですか?」と問われた田中が「愛情と言っていいのかどうか……。愛というよりかは一緒に戦う同士と言っていいのか……」と頭を悩ませていると、横から福田監督が「田中さんアスラン大好きでしたよね」と指摘。田中は恥ずかしそうに笑ったのち「アスラン推しでした。女性チームはけっこうアスランが好きな人多かったですね」と振り返った。福田監督は「単純にキラ(の人気が)落ちてたんじゃない?」とバッサリ切り捨て、西川が「DESTINY」放映時にキラの泣き声をマネをしていたというエピソードを披露する。水を向けられた西川は「よかったですよ、あれ。どこでも受けました」とニッコリ。福田監督は「『FREEDOM』ではキラとラクスの物語を描くとは言っているので、ネタバレにはならないと思います。どう考えてもキラがラクスの尻に敷かれていますね」と断言。しかし保志は「え、シンに敷かれている?」と聞き間違え、鈴村に「どういう交通事故なの……」とツッコまれていた。
最後は鈴村演じるシンの成長についてトーク。「FREEDOM」でシンの活躍が描かれるのかどうか気になるというМCに福田監督は「活躍しますよ」とあっさり述べ、鈴村に向かって「(シンは)何に乗るんでしょうね? 何に乗りたいですか? フリーダム以外で。フリーダムに乗っちゃうとあとで叩かれるよ。プラモの売り上げ落ちたらシンのせいって言われるよ」と畳みかけ、鈴村は「じゃあフリーダム以外に乗ります」と苦笑する。
福田監督はシンについて「初登場のときのサブタイトルを『怒れる瞳』としたので、怒りの子と思われるかもしれないんですが、そうじゃない。怒ってはいるけど、復讐の鬼ではないところが彼のポイント。かわいい子なんですけど、当時は鈴村くんの演技に気合いが入ってて、怒りのボルテージがすごかったですね。だから今回は、本来のかわいらしさとか強さを表現してみないかと話しました」と説明。鈴村は「監督から本来素直な子だと言われていたんですが、『DESTINY』がオンエアされたときはそこを理解するのが難しいなと思っていました。その反動があるから、怒っていたんだと思います」と述べた。
新キャラとして「SEED」シリーズに登場することについて下野は「作品がオンエアしてた当時は、アニメ業界でもトップクラスじゃないかってぐらい人気があったので、そういう作品の20年ぶりの新作に参加することに緊張しましたよね。それだけの年月も経ってますし。台本を何度も読み返しつつ、収録中も緊張がなかなか抜けませんでした」と思いを語る。森崎は「声優業界の人間でもないのにガンダムの現場に立たせていただけるっていうのが本当に光栄です」と述べ、今回のオファーをきっかけに「SEED」シリーズのみならず、勉強として「機動戦士Ζガンダム」にも手を伸ばしたことを明かした。
公開を待ち望むファンに向けて、ひと足先に鑑賞したキャスト陣が感想をひと言で紹介していく。保志は「『いやあ、観ちゃいましたよ……』って。アフレコは何カ月も前にさせていただいてその頃は映像が完成していなかったんですけど、映像を観て『完成してる!』って。すごかった……」と興奮しつつ語るも、西川が「薄いよ、ぱっぴぃ……」と嘆く。田中は「おそらく泣くだろう」という予想のもと多めに持参したティッシュが切れたと思い起こし、鈴村は「『DESTINY』放映時に『SEED』を見直したんですが、もうファンになっちゃって3日ぐらいで観ました。自分が出てるので『DESTINY』はあまり冷静に観られなかったんですが、『FREEDOM』はあのときの『SEED』がある!と没頭しました」とコメントした。
主題歌「FREEDOM」について西川は「まず担当させていただけたことに感謝」と述べ、「制作にあたっていろんなことを考えました。たくさんの皆さんの思いを楽曲を通じて届けたいと思い、もしこの作品が(『SEED』シリーズとの)新しい出会いになるのであれば、今届けるべきことを楽曲に込めたいと考えました。20年という月日が経っているため、昭和、平成、令和という世代をつなぎ、時代を超越した曲にということで今回小室さんにご協力をお願いしました。歴史を一緒に紡ぎながら、時代を越えた作品を届けたいという思いを込めています」と力説した。
イベント内ではエンディングテーマ「去り際のロマンティクス」を手がけるSee-Sawより石川智晶と梶浦由記からの手紙が読み上げられる場面も。また事前に観客から募った質問に福田監督が答えるコーナーでは、「今作を漢字1文字で表すとしたら?」という質問が寄せられた。福田監督が「さっきね、プロデューサーに『種』って言われたんですよ。でもわかんないな、種でいいのかなあ」と首をひねると、仲プロデューサーが「長く植えていた種が花開いたってことで」と補足。会場から盛大な拍手が起きる中、福田監督は「うまいなあー」と笑顔を見せていた。
最後に登壇者を代表して保志が観客に挨拶。保志は「これまでたくさん大変な思いをして20年近く、皆さんが待ち続けたものを観てほしいです。僕自身が待ち望んでいてようやくこの目で観ることができたっていう喜びと、いろんなドラマが詰まっております。新しいキャラもたくさんいて、その人たちのドラマもあるし、『SEED』の物語の世界も今後どうなっていくんだろうと思いを馳せていただけたら。ぜひ期待して、応援してください!」と締めくくった。
■ 「劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』」
1月26日(金)全国ロードショー
□ スタッフ
企画・制作:サンライズ
原作:矢立肇、富野由悠季
監督:福田己津央
脚本:両澤千晶、後藤リウ、福田己津央
キャラクターデザイン:平井久司
メカニカルデザイン:大河原邦男、山根公利、宮武一貴、阿久津潤一、新谷学、禅芝、
射尾卓弥、大河広行
メカニカルアニメーションディレクター:重田智
色彩設計:長尾朱美
美術監督:池田繁美、丸山由紀子
CGディレクター:佐藤光裕、櫛田健介、藤江智洋
モニターワークス:田村あず紗、影山慈郎
撮影監督:葛山剛士、豊岡茂紀
編集:野尻由紀子
音響監督:藤野貞義
音楽:佐橋俊彦
製作:バンダイナムコフィルムワークス
配給:バンダイナムコフィルムワークス、松竹
□ キャスト
キラ・ヤマト:保志総一朗
ラクス・クライン:田中理恵
アスラン・ザラ:石田彰
カガリ・ユラ・アスハ:森なな子
シン・アスカ:鈴村健一
ルナマリア・ホーク:坂本真綾
メイリン・ホーク:折笠富美子
マリュー・ラミアス:三石琴乃
ムウ・ラ・フラガ:子安武人
イザーク・ジュール:関智一
ディアッカ・エルスマン:笹沼晃
アグネス・ギーベンラート:桑島法子
トーヤ・マシマ:佐倉綾音
アレクセレイ・コノエ:大塚芳忠
アルバート・ハインライン:福山潤
ヒルダ・ハーケン:根谷美智子
ヘルベルト・フォン・ラインハルト:楠大典
マーズ・シメオン:諏訪部順一
アウラ・マハ・ハイバル:田村ゆかり
オルフェ・ラム・タオ:下野紘
シュラ・サーペンタイン:中村悠一
イングリット・トラドール:上坂すみれ
リデラード・トラドール:福圓美里
ダニエル・ハルパー:松岡禎丞
リュー・シェンチアン:利根健太朗
グリフィン・アルバレスト:森崎ウィン
(c)創通・サンライズ