近年、市街地では路上喫煙を禁じるだけでなく、喫煙所をそのものを撤去する動きも広がっている。結果、路地裏や空き地、駐車場など様々なスペースが、勝手に喫煙所に使われている光景はよくみかける。今回、中国地方の県庁所在地に暮らす男性から寄せられたのは
「自宅の向かいが喫煙スポットになってしまって迷惑している」
という、現在進行形のトラブルだ。(文:昼間たかし)
コインパーキングが勝手に喫煙所化
男性の自宅は、県庁所在地の中心駅から徒歩10分程のエリアだ。
「10年ほど前に地元に戻り結婚。今は実家を建て替えて両親と同居しています」
駅からも近い男性宅周辺は、繁華街の裏にある住宅地という雰囲気だ。
「自分が小学生の頃には古くからの住民も多かったのですが、いまは様変わりしています。表通りはマンションになり、それ以外は店舗やオフィスの入った雑居ビルが増えました」
そんな流れの中で、男性宅の向かいがコインパーキングになったのは5年ほど前のことだ。
「以前は個人医院だったんですが、長く空き家になっていました。それで、今は別の土地で暮らしている息子さんが『いよいよ、取り壊すことにしました』と挨拶に来たんです。その時は、土地をどうするのかは聞かなかったのですが、売却したようで、しばらくしてコンパーキングになりました」
男性によれば、この地域は土地を売却すると、ある程度まとまった面積がある場合はマンションが建つことが多い。一方で小さい土地の場合は、塩づけにするよりはと、数区画のコインパーキングになることが多いのだそうだ。
「朝夕にコインパーキングでサラリーマンが、たばこを吸っている姿はなんとなく見ていたのですが、自宅の前もそうなってしまったんです」
しかも、表通りから比較的近い位置関係のためか、男性宅の向かいは知らないうちに「人気」のスポットになってしまった。
「朝晩、常に5、6人が入れ替わり立ち替わり、たばこを吸っているわけです。夕方なんて、缶チューハイを手にしている人も見かけましたし、あまり気分のいいものじゃないですよね」
警察に相談してみたが……
地方都市とはいえ、繁華街に近いエリアのため「あまり治安がよいとはいえない」と男性はいうものの、目に見えて状況が悪化するのは我慢ならなかった。
「駐車場を管理している会社に苦情を入れたところ、すぐに“禁煙”“監視カメラあり”とか貼り紙をしてくれたんですが、いっこうに減る様子はありませんでした」
そこで、所轄の警察署に相談した男性だが、警察はまったくやる気がなかった。
「警察からのアドバイスは『その都度、110番してください』でした。何度か電話してみたんですが、そのたびに『向かいに喫煙者がいるので取り締まって欲しい』というのも、バカらしい気がしてやめました」
ならばと、今度は市役所に相談をしてみたところ、ようやく変化の兆しがあったという。
「周辺の道路にも、路上喫煙禁止の表示が増えました。それに市役所経由で警察官の見回りも増えたようで、ようやく喫煙者が群れている姿がなくなったのは、今年の春頃です」
それでも、いまだにポツポツと駐車しているクルマの影に隠れるように煙草を吸っている人の姿はあるという。
「煙草を吸う人はそれなりの数いるのに、喫煙所を減らした結果、住民が迷惑を被っているわけです。役所も、単に喫煙を禁止するだけではダメでしょう」
男性は「いっそ、コンパーキングより有料喫煙所のほうが儲かるんじゃないでしょうか」とも話した。