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新作プリキュア、今度は「犬」が主人公!? 男の子、新成人お姉さん……多様性の時代に合わせた変化と挑戦

2024年01月08日 16:41  リアルサウンド

リアルサウンド

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■史上初、動物がプリキュアになる!


 毎年の恒例となっている『プリキュア』シリーズの新作が、1月7日に発表された。シリーズ第21弾となる新作は『わんだふるぷりきゅあ!』に決まり、なんと犬がプリキュアに変身すると報じられている。主人公の犬飼いろは(キュアフレンディ)と犬・こむぎ(キュアワンダフル)が人間の姿に変化し、人間の言葉で会話をするのだという。


(参考:【写真】『わんだふるぷりきゅあ!』のビジュアルや主題歌を歌う吉武千颯、石井あみ、後本萌葉の画像などをみる


   2004年にシリーズの放映が始まり、実に20年もの歴史をもつ『プリキュア』シリーズは、これまでも時代の流行や、社会背景が投影されてきた。前作の『ひろがるスカイ!プリキュア』では、史上初の男の子のプリキュア、そして新成人お姉さんのプリキュアが登場。昨今の多様性を象徴する設定として話題になった。今回は史上初の動物がプリキュアに変身するということで、再び大きな話題を集めている。


  新作のテーマは「動物も人も、みんな友達になれる!」ということだが、犬が主人公になった背景には、昨今のペットに対する意識の変化が影響しているのではないだろうか。それまでも女児向け変身アニメでは、動物を思わせるマスコットやキャラクターが多数登場してきたが、あくまでもサポート要員として登場することが多かったように思う。


  そんな中『わんだふるぷりきゅあ!』ではついにメインに躍り出たのだ。これは、犬や猫はペットではなく、家族の一員として認知されるようになったことの象徴でもあるだろう。先般の航空機事故でもペットを貨物室に搭載するのは有りか否かで議論が巻き起こったように、犬は人間と対等な立場と考える人も増えている。もちろん、制作側の意図は様々だと思われるが、少なからずこうした時代背景を投影していると言っていいだろう。


■最強コンテンツ『プリキュア』の重要性


  女児向けのアニメは、1980~90年代の全盛期と比較すると極めて少なくなっている。かつてはゴールデンタイムにも女児向けアニメや少女漫画原作のアニメが放送されていたが、今や希少なものになってしまった。そんななかで、『プリキュア』は数少なくなった純粋な女児向けアニメであり、その存在感はますます高まりつつある。


 『プリキュア』で主演を務める声優の存在感も増している。今回の『ワンダフルプリキュア』でも、長縄まりあがキュアワンダフル/犬飼こむぎ役を、種崎敦美がキュアフレンディ/犬飼いろは役を務める。長縄も種崎も、現在のアニメーションを牽引する人気声優であり、XなどSNSではアニメファンの間からも歓喜の声が上がっている。


  女子向けアニメの枠を超えたコンテンツになりつつある『プリキュア』は、世代を超えたファンも多く、その扱うテーマも社会からも注目を集めるようになっている。そんな新作プリキュアは、2月4日からABCテレビ・テレビ朝日系列全国24局ネットで開始する。いったいどんな物語が展開されることになるのだろうか。放送開始日を楽しみにすることにしよう。


(文=元城健)