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痴漢された人が「電車」止めたら迷惑? JR東「躊躇せずSOSボタン押して」 受験シーズン迎えて対策本格化

2024年01月08日 08:21  弁護士ドットコム

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「満員電車で3000人運んでるとするじゃない?それを1人が痴漢されて電車止めたら2999人に迷惑かかるわけじゃない?」


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最近、エックス(旧ツイッター)で、あるユーザーのこんな投稿が注目を集めた。この投稿では、痴漢の被害者について「私が痴漢にあってるんだ!!他の2999人の遅刻や約束時間なんて知らん!!みたいな声のデカさが苦手なんだ」と書かれていた。



これに対し、SNSでは「2999人に迷惑をかけているのは痴漢」と反論の声が寄せられた一方で、「ボタンを押すのには勇気がいる」「とっさに押せるかわからない」という声も上がった。



1月からは受験シーズンを迎える。今年も受験生を狙う痴漢対策に自治体や鉄道各社は乗り出すが、もしも電車の中で痴漢被害に遭ったり、見かけたりしたとき、車内に設置されているSOSボタンを押して良いのか、JR東日本に聞いた。



●JR東「痴漢をはじめ犯罪行為の撲滅は重要」

まず、自分が痴漢に遭ったり、他の乗客が痴漢に遭っているのを見かけた際には、車内のSOSボタンを押しても良いのか。JR東日本の広報担当者は、次のように回答した。



「弊社では、お客さまに安心してご利用いただくため、痴漢をはじめ犯罪行為の撲滅が重要であると考えており、鉄道事業者として犯罪行為の撲滅に向け、社会啓発や秩序維持に取り組んでおります。



客室内やドア付近に設置されている車内警報装置(SOSボタン)は緊急事態が発生した際にお客さまに押下し乗務員に通報していただきます。一部の車両を除き、SOSボタンが押されると、乗務員と通話することができます。



車内で痴漢行為が発生した場合においても躊躇なく扱っていただきたいです。車内のSOSボタンを周知するために、ボタンの下に『非常の場合は上の赤いボタンを押して乗務員に通報して下さい。』との表記のシールを添付しています。



●東京メトロも「躊躇なく車内非常通報装置のご利用を」

他の鉄道会社でも、痴漢被害や迷惑行為を見かけた際、SOSボタン(各社で呼称は異なる)を押すことをすすめている。



東京都交通局の公式サイトには、痴漢を目撃したときに「助ける方法」として、次のように説明している。



「都営地下鉄及び日暮里・舎人ライナーの車内には、非常通報器が設置されています。通報ボタンを押すと、乗務員または指令員と通話することができます。痴漢等の行為を目撃したことをお伝えください。(通報ボタンを押しただけでは列車は停まりません)」



また、東京メトロも「車内で迷惑行為や急病人を発見した場合はどのようにすればいいですか」という乗客からの問い合わせに対して、公式サイトで次のように回答している。



「車内にて急病のお客様や迷惑行為をみかけた際には、お近くの駅係員・警備員等にお知らせいただくか、東京メトロ線の各車両に『車内非常通報装置』という乗務員と通話ができる装置が設置してあります。躊躇なくご利用いただき乗務員にお知らせ下さい」



●痴漢・盗撮で検挙された5割が「駅構内」「電車内」

警視庁の統計によると、2022年の迷惑防止条例違反(痴漢・盗撮)による検挙数は2233件で、このうち駅構内(階段・エスカレーター・ホームなど)と電車内の検挙数は約5割を占めている。



1月から3月にかけて受験シーズンを迎えるが、「試験に遅れたくない」という受験生の弱みにつけ込んで痴漢をする行為が例年、SNS上で話題となってきた。そのため、今年も自治体や鉄道各社は対策に乗り出している。



たとえば東京都では警視庁や鉄道各社とともに、1月6日から2月25日まで「痴漢撲滅キャンペーン」を実施する。電車などの利用者から「痴漢なくそう隊」を募り、点滅機能付きのキーホルダーを配布する。



痴漢の確証がなく、声を上げにくい場合でも、キーホルダーを点滅させることにより、被害に遭ってしまった人や、痴漢を目撃した人が周囲に痴漢と疑われる行為があることを知らせることができるという。



また、JR東日本の広報担当者は、通常の痴漢対策だけでなく、1月からは警視庁と協力して痴漢対策に取り組むとしている。



「朝時間及び深夜時間帯において埼京線や京浜東北線など5線区に女性専用車の設置、駅構内及び車内における社員や警備員などによる巡回のほか、鉄道警察隊と連携し車内の秩序維持に努めております。



継続的に関東の鉄道事業者23社局、警察庁4都県警と共同で痴漢撲滅キャンペーンを実施しています。さらに、1月には大学入学共通テストの期間において、警視庁と協力して痴漢撲滅の対策を強化しております



痴漢をはじめとした車内環境を乱す犯罪行為に対しては、引き続き鉄道警察隊等と連携し適切に対応してまいります。車内秩序の維持のため、皆さまのご協力をお願い申し上げます」(JR東日本の広報担当者)