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ラーメン事件簿2023 つけ麺店で私人逮捕、丼ぶりに“アレ”投入する客も…トラブルまとめ

2023年12月30日 09:51  弁護士ドットコム

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日本のソウルフード「ラーメン」。全国各地に専門店があり、ランチから飲み会のシメまで毎日多くの客がその味を楽しんでいる。


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人気食を提供する店舗の宿命か、2023年もラーメン店をめぐるトラブルの報告や目撃談がネットに多数あがった。迷惑客の私人逮捕にまで発展した“事件”があったほか、食べ終わった丼ぶりにゴミを入れる行為や無料ライスの食べ残しへの苦言なども話題になった。



一方、「連れがまだ食べているのに退店を促された」「メニューに追加料金の表記がない背脂代を請求された」など店側の対応への疑問の声がSNS上で議論の的となった。



ラーメンを美味しく食べたい客も、提供する側の店としても、トラブルはないに越したことはない。過去の事例を知って、年末の締めラーメンを楽しむために、今年のラーメン店トラブルを振り返ってみたい。



●ラーメン店主が迷惑客を「私人逮捕」

千葉県内では2月、つけ麺を頼んだ男性客が「なんで麺が冷たいんだ!」「俺をナメてるのか、殺されたいのか」などと大暴れし、店主に暴行するトラブルが発生した。
(https://www.bengo4.com/c_1009/n_15669/、https://www.bengo4.com/c_18/n_15807/)



被害にあった「麺処まるわ」(千葉市)は、事件当日、ツイッター(現X)で「急遽閉店し私人逮捕後に通報いたしました」と発信した。



店主の庄野勇さんが、客が庄野さんの左手首に右拳を振り下ろしぶつけてきたため、威力業務妨害、暴行の現行犯で私人逮捕する旨を説明して取り押さえた。カウンターに座っていた他の客が通報して警察に引き渡し、被害届を提出した。



「私人逮捕系」YouTuberの摘発などで注目された私人逮捕だが、要件を満たしていれば誰でも適法に行い得る。庄野さんも「加害者にならない」ために細心の注意を払ったといい、今回のトラブルでも客の身体に直接触れないように、上着の襟元、右袖を掴んで拘束したという。





●使ったティッシュを丼ぶりに「ゴミ箱じゃない」

茨城県では3月、男性客がコショウ1瓶と大量の酢を入れて退店するトラブルが発生した。
(https://www.bengo4.com/c_18/n_15821/)



2022年にも爪楊枝500本を入れられる被害に遭った「中華そば いっけんめ」(水戸市)は、トラブル発生後、テーブル置きのコショウを撤去したと当時のツイッターで投稿し大きな話題となった。



店主の男性は、取材に対し、懸命にラーメンを調理する者の心情を吐露。「作る側のことを考えてほしいと世に訴えかけていく」と話した。





同店は10月、「スープが残っている丼ぶりの中にティッシュをブチ込むのはやめて」という店内マナーをめぐる投稿でも注目を集めた。
(https://www.bengo4.com/c_18/n_16632/)



SNS上では、「丼ぶりはゴミ箱じゃない」など多くの同意が寄せられる一方、ゴミをひとまとめにして片付けの手間を減らそうという考えで「よかれと思ってゴミを食器に入れていた」という声もあった。



店主は、「ゴミ処理の手間・ゴミの収集を断られるおそれがある」ことなどを理由として挙げ、マナーやモラルの問題だと指摘している。



●客が店舗近所のマンション敷地に“侵入”

ネットでしばしば話題となるのが人気店「ラーメン二郎」だ。ラーメン業界で一大ジャンルとなった「二郎系ラーメン」の元祖で、東京・三田にある「総本山」のほか、のれん分けした店が各地にある。



熱狂的なファンを指す「ジロリアン」というワードも浸透し、各店舗によく行列ができるほどの人気ぶりだが、それゆえのトラブルも発生するようだ。



相模大野店(神奈川県相模原市)は6月、同店の利用客とみられる人物が店舗近くのマンションの敷地内に入ったことが原因で、警察経由で苦情がきたとツイートした。
(https://www.bengo4.com/c_18/n_16114/)



私有地であり絶対に入らないよう注意喚起する一方、「昨日は雨降りだったので致し方ないのかなとは思うところもございますが」とつづったため、「雨降ったら二郎で雨宿りしましょう」「責任持ってお客様整理しろよ」といった批判が殺到した。



亀戸店(東京都江東区)は9月、店側には防ぎようのないトラブルに巻き込まれたとSNSで投稿した。
(https://www.bengo4.com/c_1009/n_16545/)



2022年の暮れに、まったく身に覚えのない宅配ピザや寿司が届くという被害が発生。「もう一度イタズラの注文が来たら警察に相談」すると警鐘を鳴らす。このような行為は、「偽計業務妨害罪」に問われる可能性がある。



また、野猿街道店2でも12月、近隣の動物病院の駐車場に"違法駐車"した客がいたとして、その日の営業を取りやめる事態になった。
(https://www.bengo4.com/c_18/n_16915/)



●おかわり自由のライス残しに「二度と来るなゴミクズが」

店側の客対応に疑問の声が上がったケースも。



ツイッターで2月、高校生とその親の2人でラーメン店に入った客が、食事提供後15分ほどで早く店から出るよう促されたという投稿が話題になった。
(https://www.bengo4.com/c_18/n_15745/)



ラーメン店は少なからず回転率が求められる業態だ。「やり過ぎだと思う」という声がある一方、「混んでる店ならそれが普通。自分も同じ状況で先に外に出て待ったことある」などの体験談が寄せられるなど、賛否両論の様子だった。



「背脂多め」でラーメンを注文したら、メニューに追加料金の表記がないのに、会計時に追加料金100円が計上されていたという投稿も注目を集めた。
(https://www.bengo4.com/c_18/n_16477/)
投稿者は、注文時に確認がなかったことにも不満をあらわにしていた。



この投稿を他店のラーメン店主が引用して「注文の都度説明なんかしない」「なんでもかんでも記載するわけないだろ」と投稿者を批判。さらに店主に対する批判が飛び交うなど“炎上”した。



また、ライスを残した客について、店のSNSアカウントで「二度と来るなゴミクズが」と強すぎる言葉を使い、批判を集めたケースも。
(https://www.bengo4.com/c_18/n_16868/)



物議を呼んだのは、「横浜家系ラーメン 蓮 京成大久保」(千葉県習志野市)。同店のライスは「おかわり自由」のセルフサービスだが、ほとんど食べ残したごはんと漬物が入った茶碗を見て、怒りにまかせて投稿してしまったという(その後削除)。



店主の渡邉涼輔さんは、取材に対し、「あの投稿は自分が100%悪い。Xにも『強い言葉』ではなくて『使ってはいけない言葉』という指摘があって、それはその通り。反省している」と謝罪するとともに、開店からずっと「食べ残し」に苦悩してきたことを明かした。同店は2020年12月にもツイッターで、食べ残しをしないよう呼びかけていた。







「いかに無駄を無くしてお客様にたくさん食べてもらいたいかを第一に考える中で、ご飯を残されるという行為があまりにも自分の中で悲しく悔しくて」とも投稿していた同店には、常連客の応援や同業者からの共感も届いたという。



ラーメンをめぐる話は、一見小さなことのようでも、大きな話題になる。みんなラーメンが大好きだからこそ、一杯への思いが強く表れてしまうのかもしれない。客も店も、互いのことを理解しながら、気持ちよく食事をしたいものだ。