2023年12月28日 17:11 弁護士ドットコム
都内の繁華街を走行する広告宣伝車(アドトラック)について、東京都の審議会は12月26日、これまで都内ナンバーに限られていたデザインの規制を、都外ナンバーにも適用するべきとする答申を取りまとめた。
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来年1月に規則の改正・公布、事業者への周知期間を経て、5月にも規則が施行される見通しだ。
問題視されてきた風俗店などのけばけばしい色使いの宣伝車への規制が望まれている一方、審議会では「今後、これまでに想定していなかった方法で乗り物等に広告を表示し、道路を走行するものが現れることが考えられる」といった意見も出され、"規制の穴"をついた広告とのイタチごっこになることも予想される。
トラックの荷台を利用した広告宣伝車をめぐっては、風俗店や風俗求人サービスなどを中心として、派手な色使いや過度な発光させるものが都内を走ることで、景観や交通環境の悪化などの影響が問題とされてきた。
都内ナンバーの宣伝車については、都条例などで車両デザインを規制しているが、都外ナンバーは規制の対象外だった。
都が警視庁と11月7日夜に新宿区で実施した調査では、1時間のうちに「横浜ナンバー」と「野田ナンバー」を8台発見。いずれも風俗関係の広告宣伝車だったが、車両登録地における屋外広告物の許可は全車なかった。
現行の規制では、無許可の走行や、許可後に勝手に広告の表示内容を変更するなどの違反があった場合、30万円以下の罰金が課されることになっている。その対象を「都外ナンバー」にも拡大する。
また、11月から募集したパブリックコメントでは、低速走行で交通渋滞に影響を及ぼしているとの声のほか、風俗系求人などの宣伝車の若年層への悪影響の懸念が数多く寄せられた。他方、表現の自由への内容規制として問題にならないかと指摘する声もあった。
新しい規制においては、都外の宣伝目的地に向かうために都内を通過する宣伝車であっても、広告を表示していれば規制対象とすべきという考えだ。
また、審議会では、規制拡大後も、これまで想定していなかった方法で広告を表示し、道路を走るものが現れることが考えられるという「新たな課題」にも言及。継続的な検討の必要性が確認された。