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高島屋の崩れた「クリスマスケーキ」、返金だけじゃなく「慰謝料」まで求められる?

2023年12月25日 17:01  弁護士ドットコム

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大手百貨店「高島屋」のオンラインストアで販売されていた一部のクリスマスケーキが崩れて届いた――。複数の購入者がぐちゃぐちゃに崩れたケーキの写真をSNSにアップし「二度と買わない…」と悲痛な声を上げている。


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高島屋は公式オンラインサイトで謝罪。一部報道によると、崩れたケーキは高島屋がオンラインストアで予約販売したうち、レストランが監修して別の菓子メーカーが作った(5400円)もので、本来は冷凍で配送されたという。



購入者に返金などの対応をするというが、思わぬ形でクリスマスの大切な日を台無しにされたショックは大きいに違いない。







特別な日に特別なクリスマスケーキを食べられないだけでなく、ぐちゃぐちゃのケーキを見せられたショック…。返金や取り替えだけでなく、慰謝料などの対応を求めることはできるのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。



●返金は求められるが、慰謝料請求のハードルは高い

——責任の所在が不明確ではありますが、SNS上では、高島屋側に返金や取り替えを求めることは可能ですか



今回のケースをテレビの報道でみたとき、「何だかなあ」という気持ちで一杯になりました。ご家族や大切な人などのために、わざわざ高級なケーキを注文して楽しみにされていたことを思うと、適切な対応をしてほしかったと思います。



今回の問題について、法的な観点から解説すると、基本的には、お金でしか解決できないことは断りを入れたいと思います。



客とケーキの売買契約を結んだ髙島屋側は、注文通りのケーキをきちんと客に届ける義務を負っています。しかし残念ながら、一部の客に崩れたケーキが届いてしまったようです。



法的には債務不履行が発生しているといえるので、客側は、高島屋に取り替えを要求できます。



ただし、ケーキはクリスマスに食べることを前提に注文しているので、取り替えを求めない人もいると思われます。その場合、売買の契約を解除して、返金してもらうことになります。



——それ以上の対応はどこまで求められますか



ここまでが通常の対応と言えますが、ここからが問題です。



返金のみならず、さらに慰謝料などを請求できるかというと、法的には非常に難しいところです。何をもって精神的苦痛か判断できず、損害があると判断できないからです。



結局、客としては、支払った代金の返還の請求を求めることになります。



もちろん、高島屋としては、客の信頼を損ない、大々的に報道もされてしまったわけですから、客に丁寧な謝罪をすると同時に、何らかのお詫びの印(商品等)を送付するといった対応が考えられます。



失ってしまった信頼の回復は難しいですが、頑張ってもらうしかありません。再発防止策の提示も大事です。



ただし、最近の物流業界の人手不足といった問題も背景にありそうなので、難しい問題だと思います。ドライバーのみなさま、いつもありがとうございます。



ちなみに、私は12月24日にクリスマスケーキをいただきました。馴染みの店に直接頼んで持ち帰ったので、崩れていませんでした。ただ、ガツガツ食べてしまったので、すぐにケーキはなくなってしまいましたが。今後、今回のようなケースがないことを祈るばかりです。




【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/