2023年12月24日 08:51 弁護士ドットコム
妻の不倫相手が、妻子に送ったクリスマスプレゼントを破壊したいーー。弁護士ドットコムに、悩める夫からの相談が寄せられている。
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その“間男サンタクロース”は、妻にネックレスや化粧品、子どもにはおもちゃをそれぞれプレゼントしたという。相談者は怒りを抑えきれない様子だ。
送り主が不倫相手だったとしても、勝手に処分することは許されないのだろうか。河内良弁護士に聞いた。
ーー不倫相手からのクリスマスプレゼントを勝手に破壊・処分した場合、器物損壊罪にあたる可能性はありますか。
プレゼントの所有権は、贈った不倫相手ではなく、贈られた妻と子にあります。器物損壊罪には、親族間の処罰をしないとする特例(親族相盗例)の適用はありませんので、理論上は同罪による処罰の可能性はあります。
ただ、器物損壊罪は親告罪(告訴がないと起訴できない犯罪類型)とされています。処分した結果、妻が告訴しようとしても、親族内の問題であるなどとして、警察がやる気を示さないこともありえます。「民事事件なので介入できない」「不倫した貴女が悪いのでは」などと追い返される可能性も十分に考えられます。
ーー民事上の責任を問われる可能性はあるということでしょうか。
家族の財産であっても、勝手に処分すれば損害賠償責任を問われる可能性はあります。とはいえ、ネックレスや化粧品、子どものおもちゃ程度のものであると、賠償すべき損害額自体が大した金額にはならないのではないかとも思われます。
今回の最大の問題は、妻が不倫をし、不倫相手と子どもを交流させている点です。プレゼントを破壊した場合、相談者に不倫がバレたことを妻と不倫相手が知るところとなります。そうなると、証拠隠滅に走り、不倫の証拠を集めることが難しくなるかもしれません。相談者にとっては、何のメリットもない行動です。
それよりも、本気で離婚を考えるならば、不倫に気づいていることを妻に悟られないように注意しつつ、子の親権・監護権を確保し、損害賠償と離婚を勝ち取るにはどうしたらよいかなどを弁護士の助言を得ながら考えて固めていくことにエネルギーを費やすほうが賢明だと思われます。
【取材協力弁護士】
河内 良(かわち・りょう)弁護士
大学時代は新聞奨学生として過ごし、平成18年に旧司法試験に合格。平成28年3月に独立した。趣味はドライブと温泉めぐり。
事務所名:河内良法律事務所
事務所URL:http://www.kawachiryo-law.jp