2023年12月21日 07:11 リアルサウンド
日本のプロ野球から今年もメジャー移籍のニュースが連日のように話題となっている。松井裕樹がパドレスへの移籍が決定的に、山本由伸は、大型契約でのメジャー移籍が確実視されている。
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野球漫画でもこれまで多くの人気野球選手がメジャーへと渡っていったが、世界中にプロリーグが存在するサッカーと違い、野球の本格的なプロリーグはかなり数が限られる。プレミアリーグとブンデスリーガの経済格差は1.5倍程度だが、最大のプロ野球リーグであるMLBと第2のリーグであるNPBの格差はそのような生易しいものではない。
NPBの平均年俸4500万円に対し、MLBの平均年俸は約4億8000万円である。誇張抜きに桁が違う。そのため、NPBで成功するのとMLBで成功するのとでは経済的な側面に限っても全く意味合いが変わってくる。
■茂野吾郎(MAJOR)推定年俸:15億円
長期連載作品となった『MAJOR』の主人公・茂野吾郎は先発とクローザーの両方で成功し、最終的にはワールドシリーズ制覇も経験した。
MLBには先発とクローザーの両方で活躍した選手が何人か存在するが、吾郎に近いのはジョン・スモルツ氏だろう。
吾郎は先発として最多勝、防御率、サイ・ヤング賞の獲得経験あり、クローザーとしても最多セーブを獲得している。(NPBでも江夏豊氏が最多勝と最多セーブの両方を記録)
殿堂入り選手のスモルツ氏は最多勝、最多奪三振、サイ・ヤング賞の獲得経験あり、クローザーとしても最多セーブを獲得している。スモルツ氏は2005年に先発再転向を表明した際、アトランタ・ブレーブスと2年総額2000万ドル(年俸換算で約15億円)の契約を結んでいる。
経歴からしておそらく、20代後半だった吾郎と2005年当時38歳だったスモルツ氏を単純比較はできないが、同等かそれ以上(吾郎のほうがだいぶ若く、それでいてすでに確固たる実績を残していた)は稼いでいたのではと考えられる。
『MAJOR』でMLB編が連載されていたのが2008年から2010年ごろなのでスモルツ氏が活躍していた当時と年代的にも近く、スモルツ氏は現実のサンプルとしてかなり近いのではと思われる。
■佐藤寿也(MAJOR)推定年俸:34億円
主人公ではないので主題から逸れるが、同じく『MAJOR』のキャラクターで吾郎の親友/ライバルだった、佐藤寿也も相当な高年俸だったごとが予想される。
寿也は攻守両面に優れたキャッチャーで、最終的にはMLBで首位打者を争うほどの活躍をしている。歴史の長いMLBでも守備負担の重いキャッチャーが打撃のタイトルホルダーになることは珍しい。時代、選手のタイプからして近いのは、ジョー・マウアー氏だろう。
地元出身でミネソタ・ツインズ一筋にプレーしたマウアー氏の全盛期は3度の首位打者にMVPも獲得したレギュラー定着の2005年から2013年ごろまでで、『MAJOR』のMLB編と年代も重なる。マウアー氏は全盛期だった2010年オフに8年総額1億8400万ドル(年俸換算で約34億円)の契約を結んでおり、寿也も同等レベルの契約を結んでいてもおかしくない。
■逢坂猛史(フォーシーム)推定年俸:1億6000万円
もうひとつ、『フォーシーム』の主人公、逢坂猛史を挙げておこう。逢坂は36歳でMLBに挑戦し、全く期待されていなかったにもかかわらずクローザーとして大活躍する。その経歴は、同じく36歳でMLBに挑戦し、全く期待されずマイナー契約しか結べなかった斎藤隆氏と重なる。
全く期待されておらず、開幕はマイナースタートだった斎藤氏だが、シーズン序盤にMLB昇格を果たすとクローザーとして大活躍し、MLB2年目の2007年にはオールスターゲーム出場も果たしている。
『フォーシーム』の連載開始が2013年、斎藤氏がMLBで活躍したのが2006年~2012年なので年代も近い。
斎藤氏は2007年オフに年俸200万ドル+出来高20万ドル(年俸換算で約1億6000万円)の契約を当時所属していたロサンゼルス・ドジャースと結んでいる。リリーフ投手は年俸が安めだが、それでもNPBの平均年俸を大きく上回る。
『フォーシーム』劇中では非常識で理不尽なインセンティブ契約を結んでいた逢坂だが、リアルならば同程度の契約に落ち着いていたと思われる。
野球とカネの関係であれば、長期連載作品の『グラゼニ』がある。こちらも企画とぴったりの内容なので、最後に名前だけ挙げておこう。
(文=ニコ・トスカーニ)