休憩なしで長時間労働。そんな会社は令和の時代には存在しないと思いたい。福岡県の40代前半の男性(素材・化学・食品・医薬品技術職/正社員・職員/年収300万円)は、20年前に入社した会社での出来事を振り返った。
「仕事時間が朝の9時から早くて帰り着くのが夜中1時、遅い時は4時を過ぎてました」
「途中休憩もなく、休みは週1の水曜日のみ」
という過酷さが原因で、試用期間の開始日から1か月ほどで退職したという。
退職の意向を伝えると「今すぐ寮から出ていけ」
本社は関東にあるが、福岡県内に支店ができると聞いて求人に応募した。ただし試用期間中は千葉にある支店に勤務するため、面接官に「来週から関東へ行ってください」と言われ、帰宅するなり支度をして翌週に関東へ向かった。
新しい仕事に希望に満ちていたであろう。ところが男性を待っていたのは、想像を絶する日々だった。冒頭に書いたように、休憩なしで明け方まで仕事することもあり、休日は週に1日のみ。支店から5分の距離にあったという寮に一人暮らししていたことも災いしたかもしれない。今より労務コンプライアンスが緩かった20年前とは言え、尋常ではない。
問題は長時間勤務だけではなかった。パワハラも受けたという。九州出身で方言がある男性は、「仕事中に方言を使うと暴力、1日何度も暴力を受けた」という。心身ともに疲弊したであろう男性は、試用期間の開始日から1月ほど経ったある日の出来事をこのように書いている。
「仕事終わりの夜中4時くらいに辞めることを支店を任されてる部長に伝えると、『今から寮に戻り寮のみんなが起きる前に荷物をまとめて出て行け』と言われました」
地方出身の同僚が何人も突然いなくなった
辞めると言ったのは男性だとしても「今から出て行け」はおかしいだろう。しかしこの支店では珍しいことではなかった。
「私が辞める前にも同僚が何人も突然いなくなったりしてました。その人達も同じように地方から来た人達でいきなり追い出され、関東に放り出されたと思います」
幸い、男性には千葉に親戚がおり助けてもらえたが、「もしも助けてくれる人がいなかったらどうなってるかわかりません」と考えただけでも恐ろしい。
結局、入社から1か月で退職した。「給料日になってもその1月分の給料は出ませんでした」と辞めた後にも嫌な思いをしたようだ。男性は「仕事時間の長さ、休憩がないこと、そして暴力、それによって辞めたらその場で寮から追い出されること」と、その会社の問題点を列挙し、「あんな会社なので残っていたとしても会社名を変えてるか移転してると思いますが…」と書く。
「あんな会社」と蔑むのも無理はない。なぜなら、仕事内容は家の周りにある排水マスの修理の営業をマニュアルに沿って行うものだったが、
「マニュアルがお客に対する嘘ばかりで危ない会社だったと思います。後から同僚から連絡があり聞いた話では、私達が営業してマスの修理をした後、別の営業がその家に行ってリフォームの営業をして手抜き工事をして利益を上げてたらしいです」
といった悪質な詐欺会社だったから。早々に辞めて大正解だったろう。
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