誰も行きたがらないような部署・地方などへの配置換えを「左遷」と呼ぶ。いっそクビになるほうがいいのかどうかは、本人次第かもしれない。兵庫県に住む40代後半の男性(技能工・設備・交通・運輸/年収950万円)は、
「32歳ごろ、早ければ同期が本社勤務もしくは係長職に上がるタイミングで、社内の『左遷用職場』へ異動。そこで3年半、典型(的)な社内ニートとして過ごしました」
と、かなり早い段階で出世コースから脱落した模様。キャリコネニュースで「左遷されたことがある人」をテーマにエピソードを募集したところ、当時の状況を淡々と綴ってくれた。
「定年まで20年間を潰している人もいました」
「左遷用職場」が何をする部署なのかは明かしていないが、実際ほとんど仕事の無いところだったようだ。
「そこは上司も所属長も全員左遷で来ており、定年まで20年間を潰している人もいました。また当時はテレワークなどないためやることはないのに出社して時間を潰すスキルは身に付きました」
あげくの果てに「1日中、業界誌を読んで過ごすなんてザラでした」と生産的な行為とは無縁の日々を過ごしていたらしい。この部署について、男性はこう考察を巡らせている。
「思うに、その職場が会社の業績向上や課題解決に寄与することは一切ないと思われる、そんな位置付けなのですが、社員を解雇しない、出向もさせない(させられない)」
「ある意味、社内の福祉的な職場なのではと当時から思っていました」
会社に一切貢献しないという認識で人材を切ることなく留め置くのだから、相当余裕のある大企業ではないだろうか。男性としても「飼い殺し」ではなく「社内の福祉」と捉えたほうが、状況を受け入れ易かったのかもしれない。そして男性は幸運なことに
「その後、もといた職場に戻る形で異動し、同期から8年程遅れて係長職になり今に至ります」
と「左遷用」の部署から脱却する機会が訪れた。ヤケになって辞職などしなかった結果だろう。ちなみに、その左遷用部署は現在も相変わらずのようだ。
「今でもその職場は会社の組織改編の機会も乗り越えながら存続しており、社員雇用において重要な役割を担い続けています」
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