今年3月に逝去した坂本龍一とICCはこれまで、展覧会の企画に連動したコンサートやICC開館10周年および20周年を記念した企画展を開催するなど、深い関わりを持ってきた。今回の展覧会では、ライゾマティクス(Rhizomatiks)の真鍋大度を共同キュレーターに迎え、坂本の残した演奏データをもとにした作品、坂本と親交があった国内外のアーティストによるアートワーク、これまでの坂本によるICCでの展示などを用意。坂本を追悼するとともに、同氏の活動を継承・展開していくという。
坂本は1978年に「千のナイフ」でソロデビューし、同年に「イエロー・マジック・オーケストラ(Yellow Magic Orchestra)」に参加。1983年の“散開”後も、映画「戦場のメリークリスマス」や「ラストエンペラー」の音楽を手掛けるなど多方面で活躍した。1990年代初頭のインターネット黎明期からネットに関心を持ち、メディア・アーティスト岩井俊雄とのコラボレーションをはじめ、カールステン・ニコライ、高谷史郎、真鍋大度、毛利悠子といったアーティストとのインスタレーション制作を通じて、現代美術やメディア・アートの分野でも多数作品を発表した。
なお、2017年に開催したICC開館20周年記念企画展「坂本龍一 with 高谷史郎|設置音楽 2 IS YOUR TIME」は台湾に巡回し、作品「IS YOUR TIME」は北京での坂本の個展にも出品された。現在は中国・成都で大規模個展「SOUND AND TIME(一音一時)」が行われている。