労基法を守る気なしのパワハラ上司は現代では通用しない。ある物流会社で働いていた20代男性は、かつて同じ部署の中間管理職だった上司についてこう語る。
「50代後半の男性で、会社方針に逆らって個人のワガママを人にぶつけてくる人でした。会社としては規定の時間を守るように社長から指示が出ていたのに、朝は30分も早く出社させられたり、昼休憩を15分早く切り上げさせられたり……。しかも、人の休憩方法に『スマホをいじったり昼寝をするな』と口を挟む始末です」
暴言や無意味な説教も多く、「自分勝手に仕事をして精度も低かった上に間違った方法を人に教え、怒鳴ったりカッと怒りやすいタイプ」だったという。悪い上司の見本のような特徴だが、やがて「追い出し部屋」に異動になった。どういうことなのか、男性が編集部の取材に答えてくれた。
会社に謝罪を命じられても「謝れと言われたから謝りに来たよ」と反省の色なし
男性は「1年以上、労基法や会社のルールを無視したタダ働きをさせられました」と元上司の悪行を振り返る。
「特に悪質だったのが、定時を繰り上げて働き時間が余ると、今度は『お前は何もするな。何もしてないから休憩時間でいいだろ?』と妙な理屈を押し付けきたことです。これでは何のために早出出勤をさせられたか、意味がないですよね」
また、男性が反論すると「おまえより俺のほうが仕事が上手いから、これは当然のこと」などと聞く耳を持たなかったという。これだけではなく、男性は自分に浴びせられた数々の暴言が忘れられない様子だ。
「パワハラに加えてプライベートでも嫌なことが重なったため、心療内科を受診したことがありました。何かのときにそれを上司に伝えたら、『なんでお前が心療内科に行く必要があるの?お前が行くなら俺が行きたいぐらいだ』と言われました。仕事が原因で病気にかかり、行きたくて行ったわけではないのに、こんな心無い言葉を向けてきたのはこの人だけです」
他の社員も男性と同じく上司を嫌っており、「愛想を尽かす人が全員でした」というから相当悪質だったのだろう。その問題上司もついに、もっと上の管理職からお咎めを受け、男性のもとにも謝罪をしに来たそうだ。しかしこの上司は
「何が悪いかわからないけど、謝れと言われたから謝りに来たよ。こっちは仲良くしようと思ってただけなのに」
と、全く反省の色なしだった。
「追い出し部屋」に異動になった上司は……
こうした問題行動が重なったためか、ついに会社はこの人物を見放したようだ。上司は異動となり、3年前からいわゆる「追い出し部屋」とされる部署に異動になった。
「元上司は、勤務時間は他人と関われないような状態になりました。紙に塗料を機械で塗っていく地道な仕事で、小部屋でひたすら機械と向き合うので、基本的に高齢の退職間際の方がほとんどの部署です」
パワハラについて「具体的なペナルティなどは無かった」と男性は語るが、つまりこれが懲罰とも言えそうだ。現在の状況としては
「一緒に働いていたときは散々いきがっていましたが、その後は狭い通路で僕と向かい合ったとき自分から道を譲るような、情けない姿も見えました。以前なら、『上司に道を譲るのが普通だろう』と威張っていたでしょうね」
と、すっかり意気消沈している様子だ。もっとも、異動先では数少ない若手社員に偉そうにしていたそうだから、あまり懲りてはいないのかもしれない。ちなみに現在の男性はと言うと……
「以前より大手の企業に転職して、前よりも格段に良い上司に恵まれています」
と、転職し充実した日々を送っていることを語った。
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