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出張多い夫の荷物から「避妊具」発見、残り2個…妻は激怒「これって"不倫の証拠"になりますよね?」

2023年12月07日 10:01  弁護士ドットコム

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「夫が出張に行くというので、荷物の準備を手伝っていたら、コンドームの箱が出てきて・・・」


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そう話すのは、自営業のA美さん(30代)です。結婚5年目になりますが、最近、夫に浮気をされているのではと疑っているそうです。「夫は出張が多いのですが、常にコンドームの箱を持って行っています。これって不倫の証拠になりますよね?」と、離婚を考え始めたA美さんは怒りを隠せません。



弁護士ドットコムにも、こうした内容の相談が多く寄せられています。



夫のバッグの中に避妊具を見つけたという女性からは「残り2個しかありませんでした。不倫の証拠になりますか?」という相談がありました。



また、ほかにも「夫が複数のラブホテルの名前が入った避妊具を持っていました」「夫の車から使用された避妊具を発見しました」などの相談もありました。



妻からすれば見覚えのない避妊具は、夫が不倫をしている「証拠」と思うのも無理はありません。実際にはどこまで「証拠」として認められるのでしょうか。澤藤亮介弁護士に聞きました。



⚫︎「避妊具」を見つけたらどうする?

——夫の持ち物や車から、夫婦で使っていない避妊具が出てきた場合、「不倫」の証拠になりますか。もし発見した場合は、スマホで写真に撮影して記録すれば「証拠」になりますか。



夫婦で使用していない避妊具が夫の持ち物や車から発見された場合、少なくとも夫の不倫の事実を立証する証拠の一つにはなると言えますので、何らかの形で保存しておくことをおすすめします。



たとえば、夫が近くにいて急ぐ必要があるのかなど、発見した状況にもよるかと思いますが、スマートフォンで画像をとりあえず撮影する方法でもよろしいかと思われます。余裕があれば、動画も撮影して避妊具のみならず、周囲の状況(どこから避妊具が出てきたかなどがわかる動画など)も撮影しておくのも、将来の立証上、有用だと思われます。



さらに、手書きでもスマートフォン上でのメモアプリでも大丈夫ですので、いつ、どこで、どのような状況で発見に至ったかなどの発見に至るまでの事実経過なども記録しておくと、ご自身の備忘になるとともに、将来の裁判で夫側が強く争う場合などにこのような手紙メモを証拠として提出することもありえますのでおすすめします。



なお、私も実際の法律相談の際、どのような経緯や状況下でその証拠を発見するに至ったかを必ずおうかがいしております。



⚫︎ラブホテルのロゴ入り避妊具は「決定打」になる?

——ラブホテルのロゴが入った避妊具だった場合は、有力な証拠になりますか。



結論としては、証拠の一つにはなりうると思います。



ただし、実際の裁判(たとえば離婚訴訟)では、一つの証拠だけで不倫が立証されることはどちらかというと少なく、通常は、ほかの証拠(たとえばLINEや、スマートフォンから出てきた写真など)も提出され、裁判官がこれら複数の証拠を総合的に評価したうえで、不倫の事実があったと認定できるかを判断することになります。



そのため、今回のようなラブホテルのロゴが入った避妊具の写真なども、不倫の事実を証する証拠の一つにはなりえますが、夫側からの何らかの反論に備え「不倫の事実を立証することができるほかの証拠も取得できないか」という意識で検討していただくとよろしいかと思います。



⚫︎「避妊具」以外にはどのような「証拠」が必要?

——避妊具以外に、どのような「証拠」があればより、適切でしょうか。



先ほどのとおり、実際の裁判では、さまざまな証拠が出されて、当事者への尋問手続などもおこなったうえで、裁判官が不倫の事実を認定できるか否かを判断することになります。そのため、まずは、一つの証拠を取得しただけで安心せず、ほかの証拠も収集することができないか、その意識を持つこと自体が大切かと思います。



次に、それぞれの証拠には証明力(裁判において、ある事実の立証にどの程度役に立つか)の強弱の違いがあります。たとえばラブホテルの出入りを捉えた興信所作成の調査報告書があれば、それだけで少なくとも当日における性交渉の存在を立証できる可能性がかなり高いと言えます。



一方、不倫相手とのLINEなどのやり取りが証拠の場合は、先ほどの調査報告書と比べると証明力が弱いことが多く、ほかの証拠で補えないかを検討する必要性が高くなると言えます。



さらに、離婚訴訟で夫に対する離婚請求のみならず、不倫を原因とする慰謝料も請求する場合には、その不倫交際がどれくらいの期間継続していたか(たとえば5年間続いた仲なのか、または、1回性交渉を持っただけの仲なのか)によって、その金額が大きく異なることがあります。



そのため、「性交渉の存在」そのものを証する証拠のほかに「いつから性交渉を含む不倫交際を始めたのか」についても立証することができる証拠(たとえば、夫と不倫相手との間でのLINEのやりとりなど)も収集できないか、意識しつつ収集していただくとよろしいかと思います。




【取材協力弁護士】
澤藤 亮介(さわふじ・りょうすけ)弁護士
東京弁護士会所属。2003年弁護士登録。2010年に現事務所を設立後、離婚、男女問題、相続などを中心に取り扱う。自身がApple製品全般を好きなこともあり、ITをフル活用し業務の効率化を図っている。日経BP社『iPadで行こう!』などにも寄稿。
事務所名:東京キーウェスト法律事務所
事務所URL:https://www.keywest-law.com