痴漢被害の多くは電車内で起きていると言われているが、それは昔から変わらないのかもしれない。岡山県の50代前半の女性(営業/年収200万円)は、20年前に目撃した衝撃的なできごとを振り返る。
「電車のつり革につかまって、立って乗車していたときのこと。たしか私の両隣に、2~3人ずつ女性ばかり並んで立っていました。そのとき右横から『やめてください』という困ったような、怒ったような声がしました。見ると10歳くらいの男の子が、スカートめくりをしながら、だんだんとこちらに移動している様子」
まだ子どもとはいえ、やっていることは犯罪だ。大人としてお灸を据えてやらねばなるまい。女性は「はぁー?何してんだコイツ」と心の中で思いながら、さりげなく自分の順番が回ってくるのを待ち構えていたそうだ。(文:福岡ちはや)
「私をスルーして、左横の女性のスカートを覗いているではありませんか」
女性は部活で拳法をかじっており、覆面を被った下着泥棒やトイレに潜んでいた痴漢を不意打ちでノックアウトした勇ましい経験があった。そのため、今回も「一発、頭にゲンコツを入れてやろう」と考え、右手の親指を中指に入れ、臨戦態勢で立っていたという。ところが予想に反して、男の子はなかなか女性のところへ来なかった。
「ふと見ると、(男の子は)私をスルーして、左横の女性のスカートを覗いているではありませんか。『は?私のとこは?このクソガキ』と思いながら、自分がトラブってないのに、殴るどころか、叱責することもできず……」
男の子は女性のただならぬ雰囲気を察したのかもしれない。結局、女性が「こんなときどうすれば?」と迷っている間に電車が駅に着き、男の子は降車してしまったそうだ。女性は「隣の女子を助けてあげることができなかった」「天誅を加えられなかった後悔の念が残りました」と悔しさを滲ませた。
その後、女性が電車で目撃したできごとを夫に話したところ、「危なかったね。何もなくて良かった」と返されたという。妻の無事を喜ぶ優しい旦那さまかと思いきや、
「(夫は)『警察沙汰になるとこだったね。過剰防衛で、あんたが』とマジな顔で言ってました」
と、女性はエピソードのオチを綴った。
20年前は10歳だった男の子も、いまや30代になっているはずだ。彼が改心し、真っ当な大人になっていればいいのだが。
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