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縁切り神社の「絵馬」にプライバシー保護の波、参拝客「本名書かないと効果感じない」 シールや"重ね絵馬"で対策

2023年12月05日 10:01  弁護士ドットコム

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「フルネームじゃないと"効き目"が薄れる気がする」


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願いを託す人の中には、そのような考えの人もいます。



神社の絵馬にプライバシー保護のためのシールを貼る動きが広まっているといいます。撮影され、ネット上に公開されることによるトラブルの懸念もあってのことです。



絵馬には自分の名前や住所だけでなく、場合によっては家族や第三者の個人情報まで書くため、それがネガティブな「願い」であれば、なおさらプライバシーが配慮される必要があるかもしれません。



日本有数の「縁切り神社」として知られる神社も近年、安心して縁を切るための取り組みを始めています。



●自販機で購入「縁切り絵馬とシールのセット」

訪れたのは、東京都板橋区の「縁切り榎」です。同じ敷地に小さな神社も建てられています。



「絵馬」は自動販売機でシールと根付けと一緒にセットで販売されていて、11月の平日の午後という時間でも、住宅街に佇む「縁切り榎」には、ぽつらぽつらと人がやってきました。



敷地の外(公道)から絵馬は容易に目視できても、シールが貼られてるため、書かれた内容はわかりません。



このようなシールが貼られたのはいつからか。管理する団体に聞いてみようとしましたが、区の観光協会によると、団体は「いま取材をお断りしている」そうです。



ただ、関係者によると、だいたい新型コロナ流行の前後からシールの取り組みを始めたとか。



●シールの外にまであふれる願い「死ね」「ジャニーズ」

確認したところ、9割以上の絵馬にはシールが貼られていました。



とはいえ、シールの外にまで「死ね」など、攻撃的な言葉がはみ出しているまがまがしいものも…。



シールを貼っていない絵馬には何が書かれているのでしょうか。



11月に書かれたばかりの絵馬には、旧ジャニーズ事務所のタレントらに「悪縁は切れる」と応援メッセージを送るものもあります。



ある絵馬には「~~に住む●●」(男性の人名)に対する恨みつらみがビッシリ書かれており、その男性だけでなく将来産まれる子どもの不幸まで願われているではありませんか。



男性の名前が珍しいものだったので、ネットで検索すると同姓同名の男性が顔写真付きで登場するブログがヒットしました。





読んでいるとつらくなるような内容のものばかりではなく、「野良猫が空腹と寒さから一生苦しむことがないように」といった優しい思いがうかがえるものや、「独身との縁を切りたい」という切実な思いの絵馬もありました。



訪れた人たちは、絵馬のシールをどう受け止めているのでしょうか。



50代母親とやってきた20代女性は、恋愛の悩みについて書いていました。



「シールは必要です。私は絵馬に本名をフルネームで書く派なので、他の神社などでも同様のシールがあるとうれしい。イニシャルで書いても、気持ちが乗らないんです」



知人と一緒にやってきた別の20代女性は「会社の上司との悩みを書きました。事前にネットで調べて、ここにはシールがあると知っていたので来ました。名前を書いて、ネットやSNSに流されたらイヤです」と話します。



●YouTuberに絵馬を晒され「呪われた神社」と指摘されて・・・



同じく縁切りで有名な栃木県足利市の「門田稲荷神社」でも、今年に入ってから絵馬の個人情報について考慮するようになったそうです。



悪縁を切って良縁を結ぶため、病気との縁を切って健康になりたい人や、不倫関係にある相手との縁を切って幸せな縁を見つけたいという人が、国内外からやってきます。



取材に応じた神主によれば、1年以上前に、100万人程度のチャンネル登録者数を抱えるYouTuberが神社を「呪われている」など悪し様に取り上げ、絵馬の内容まで映した動画を公開したことがありました。



気づいたときにはすでに10万回ほど再生されていたそうで、連絡をして動画を削除してもらいましたが、その出来事をきっかけとして、希望する人がいれば、絵馬の内容を隠せるような配慮を始めたのだといいます。



ただ、門田稲荷神社では、絵馬にシールを貼るのではなく、別途購入した「重ね絵馬」をもう1枚重ねて見えなくします。





「木でできた絵馬は自然のもの。シールを貼ると、せっかく書いた気持ちや文字がシールの化学物質でダメになってしまうという考えがあります。神様にお願いごとをつなぐことができなくなってしまうと思ってます」(神主)



絵馬と重ね絵馬の間には、「必要最低限」に短い両面テープではがれにくくする。



「絵馬になんでも書ける」など評判はよいそうです。



●ネットに残る数々の絵馬写真

ある縁切り神社を検索すると、過去に撮影された絵馬の情報が残っていました。



書いた当時は「誰かに見られても問題ない」と考えていても、あとになって何かの拍子にSNSなどに投稿され、その内容が思わぬ形でフォーカスされてしまうというのは考えすぎでしょうか。



取材すると、「絵馬は本名で書きたい」という思いを抱えた人が一定数いることがわかりました。もしかすると、シールを貼るのが今後の参拝マナーになるのかもしれません。