2023年12月03日 09:20 弁護士ドットコム
ドリンクバーからなみなみと注いだコップを大切に抱えたその女性は、席に着くや否や、店員の目を盗むようにしてバッグから取り出した水筒に移し替えた——。都内の主婦・J子さんは先日、ファミリーレストランでそんな光景を目撃した。
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「高齢の女性でした。あまりに自然にコップの中身を移し替えていたので、いつもやっているのかなと思いました。取り立てて悪いこととは思わないのですが、やっていいのかな?と疑問に思いました」と話す。
ドリンクバーは通常、店内の指定されたコップで飲むものと思われるが、水筒などで店外に持ち出すことも問題はないのだろうか。もし店側から退店要求されたら従わなければいけないのだろうか。上田孝治弁護士に聞いた。
ファミリーレストランのドリンクバーは、一般的には、対象となっているドリンクを、一定の料金を支払うことによって、店内において飲むことができるサービスのことをいいます。 そして、ドリンクバーにおいては、店内で飲むことを前提にドリンクが提供されていることは常識となっています。
仮に、店内に「持ち帰り禁止」といった内容の張り紙やメニューへの表示がなかったり、従業員から「持ち帰りはできません」といった説明がなかったりしても、一般的なドリンクバーであれば、ドリンクを持ち帰ることは当然できないということになります。
したがって一般的なドリンクバーにおいて、ドリンクを水筒に移し替えるなどして店外に持ち出してしまうと、ドリンクを盗んだということで、窃盗罪にあたる可能性があります。
また、ファミリーレストランには、店舗の利用に関して管理権限がありますので、ドリンクの持ち出しといった犯罪にもなり得る明白なルール違反があったような場合、退店を命じられた利用者は、それに従わなければならないことになります。
【取材協力弁護士】
上田 孝治(うえだ・こうじ)弁護士
消費者問題、金融商品取引被害、インターネット関連法務、事業主の立場に立った労働紛争の予防・解決、遺言・相続問題、不動産・マンション管理法務に特に力を入れており、全国で、消費者問題、中小企業法務などの講演、セミナー等を多数行っている。
事務所名:神戸さきがけ法律事務所
事務所URL:https://www.kobe-sakigake.net/