2023年12月01日 10:31 弁護士ドットコム
コンビニ店内に出店しているバーについて、SNSで激論となっている。きっかけは、11月18日に配信された「なぜ、店内に『バー』が? ファミマも手応え 狙いを運営会社に聞いた」(ITmediaビジネスオンライン)という記事だった。
【関連記事:「客に禁止行為をさせろ」メンズエステ店の秘密のルール 逮捕された女性スタッフの後悔】
この記事は、ファミリーマートとローソンに店内併設のバーが増えていると紹介している。バーを運営しているのは、酒の買取・専門店などを手がける「NBG」(京都市)で、「お酒の美術館」というバーをファミマに8店舗、ローソンに4店舗、それぞれ展開しているという。
SNSでは「1杯500円から」という手軽さや、コンビニ内で購入した食品を持ち込めることなどから、歓迎の声が上がる一方で、コンビニの利用客や店員の安全を懸念する声も多く上がった。実際に「治安の悪化」はあるのだろうか。コンビニ各社と運営企業に聞いた。
「ローソンとファミリーマートの店内に小規模なバーがじわり増えているらしい。1杯500円からでチャージ無料。いいね、コンビニが益々「接続するコミュニティ」機能を発揮しだしている。バーよりスナックの方が需要ありそう。店の近隣のおばちゃんが日替わりで手料理ふるまうとか各都道府県の味と酒を提供するとかいろいろアイデア生まれそう」
エックスにそう投稿したのは、独身研究家の荒川和久さんだ。この投稿は注目を集め、1万2000回もリポストされた。
荒川さんと同じく、コンビニ店内にバーが併設されることについて、「楽しそう」「行ってみたい」「ファミチキやからあげクンを買って飲みたい」(それぞれファミマとローソンで販売されているチキン)など、歓迎する声が広がった。
一方で、配信された記事の写真は、バーとコンビニの売り場が仕切られておらず、衛生品の商品棚とバーのカウンターが近接して見えることから、懸念の声も上がった。
現役のコンビニ店員というアカウントは、次のように苦言を呈した。
「現コンビニ店員からするとまじでやめてほしい。ただでさえ絡まれてしんどいのに、自ら酔っ払いを作りにいこうとすんな。コンビニ店員の女の子がどんだけ絡まれてるか本部はわかって」
コンビニ店員へのカスタマーハラスメントが社会問題となる中で、コンビニ店員の安全を心配するこの投稿は、1万1000回リポストされている。
ほかにも、コンビニ内のバーは早ければ15時に開店するため、子どもがコンビニを利用する時間帯と重複することを心配する声もあった。女性客がバーで酔った客に絡まれるのではないかという指摘も多かった。
実際はどうなっているのだろうか。記者は11月下旬の平日18時ごろに東京・渋谷にあるファミマに足を運んだ。今年8月に開店したという「お酒の美術館渋谷明治通り店」が併設されている。居酒屋も立ち並ぶ大通りに面した店舗で、ファミマの看板と並び、大きなバーの看板や「ファミリーマートでご購入のおつまみに限り、持ち込みOK!」といったサインが目立っていた。
ファミマ店内に入ると、すぐ右手にバーカウンターがあり、すでに3、4人の男性客が座っていた。カウンター内では、華やかなスーツ姿の女性店員が接客していた。
訪れたときは、コンビニの利用客とバーの利用客が互いに接するようなことはなかったが、カウンターから2メートルも離れていないようなところには、コンビニの衛生品の棚が配置されており、その距離は近かった。バーとコンビニを仕切る壁などはなかった。
これまでに、SNSで懸念されているようなトラブルは発生していないのだろうか。弁護士ドットコムニュース編集部は、ファミマとローソンそれぞれに、トラブルの有無とコンビニ店員や利用客の安全をどのように配慮しているのか、また今後の展開について聞いた。
ローソンの広報担当者は次のように回答した。
「BARとローソンは別店舗として区画を分けて運営しており、従業員も別となります」
ファミマの広報担当者は、次のように回答した。
「『お酒の美術館』との取り組みは、2020年10月よりスタートしておりますが、 今後の展開について、現時点では未定です。
尚、個店事情については回答を差し控えさせていただきますが、『お酒の美術館』は、当社および当社の加盟店が運営しているわけではなく、『お酒の美術館』におけるお客さまの対応に関しては、全て『お酒の美術館』のスタッフが、お客さまに安心してお買い物いただけるように対応いただいております」
「お酒の美術館」を運営するNBGにも11月20日以降、同様の内容を同社ホームページの問い合わせフォームと広報担当者のメール、電話にて数回にわたって質問したが、11月30日までに回答は得られていない。回答が届き次第、追記する。