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『呪術廻戦』伏黒恵は作中一の天才? 才能に“恵”まれた若き呪術師のポテンシャルを考察

2023年11月25日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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※本稿はアニメ『呪術廻戦』2期までの内容に触れています。ネタバレにご注意ください。


 『呪術廻戦』には数多の呪術師たちが登場するが、そのなかでも伏黒恵はずば抜けた才能を持っている。“現代最強の術師”こと五条悟の影に隠れているものの、そのポテンシャルは決して負けてはいない。これまで描かれてきた戦闘シーンなどの描写を見れば、驚愕のスペックを持っていることが分かるだろう。


(参考:【写真】領域展開「嵌合暗翳庭」を発動した圧倒的迫力の伏黒恵のフィギュア" )


  恵は、主人公・虎杖悠仁と同じ呪術高専の1年生。呪術高専に2級呪術師として入学した「天才」とされている上、1年生で唯一単独任務が許されており、教師陣からも実力を高く評価されていることが窺える。


  そんな恵の強さの根幹となっているのが、10種類の式神を操って戦う術式「十種影法術」。同作の世界では、術式は基本的には生まれつき身体に刻まれているものであり、特訓や成長によって新たに身につけることはできないとされている。そのため、生得術式が呪術師の格を左右するといっても過言ではない。「十種影法術」は呪術界の御三家である禪院家の相伝術式なので、生まれながらのエリートと言える。


  さらに特筆すべきは、領域展開に関する才能だ。恵は単行本7巻から始まる「起首雷同」編にて、宿儺の指を取り込んだ強力な特級呪霊と死闘を繰り広げた。そこで窮地に追いやられた際に、呪術師として大きな成長を遂げ、領域展開「嵌合暗翳庭」を放つことに成功する。


  この時は不完全なものでしかなかったが、その後読者は領域展開が洗練されていく様を見せ付けられる。たとえば「渋谷事変」では、特級呪霊・陀艮の領域展開「蕩蘊平線」を中和するために「嵌合暗翳庭」を使っていた。つまりこの時点で、陀艮と領域の押し合いができるほどの完成度に達していたと思われる。


  そもそも領域展開は、作中でもひと握りのキャラクターしか使うことができない高等技術だ。東堂葵や冥冥、七海建人といった1級術師たちはおろか、禪院家の26代目当主である禪院直毘人も、領域展開を会得していない。


  さらにいえばあの五条ですら、星漿体・天内理子の護衛任務にあたった高専2年生の頃にはまだ領域展開を使えなかった。こうした現状を見ると、高専1年目にして領域展開の才能を開花させた恵の異常さがよく分かるだろう。


数々の猛者たちが認める伏黒のポテンシャル


 「十種影法術」を応用した戦闘技術の高さや、領域展開に関する圧倒的な成長速度など、恵は底知れないポテンシャルを持っている。その実力は、作中屈指の猛者たちからも評価されているほどだ。


 たとえば五条は、恵の実力や潜在能力について虎杖と遜色ないことを認め、「本気」を出すように鼓舞していた。また“呪いの王”である宿儺も、物語の序盤から伏黒に何かと目をかけている。


  第9話「呪胎戴天-肆-」では、式神使いらしからぬ恵の戦闘スタイルを見て「面白い」と一言。また術式の性能も高く見積もったようで、特級呪霊と戦うことを避けて逃げ出したことに疑問を呈し、「宝の持ち腐れ」だと指摘していた。宿儺はこの時点ですでに、恵が“本気”を出せば特級呪霊を祓えることを見抜いていたのではないだろうか。


  また恵が領域展開を会得した際にも、宿儺は「いい」「それでいい」と満足げな表情を浮かべていた。その腹の内にどんな思惑があったにせよ、恵の呪術師としての才能を認めていたように見える。


  五条と宿儺に次ぐ実力者で、恵にとっては父にあたる伏黒甚爾の反応も興味深い。「渋谷事変」で受肉した甚爾は、本能のまま強者に襲い掛かる戦闘マシーンとなっていた。そこで陀艮撃破後、禪院直毘人と七海建人、禪院真希がいるなかで、恵を標的に選んでいた。本能的に親子の絆を察知したのでなければ、甚爾は直毘人や七海よりも恵を“強者”と認識したということになるだろう。


  実力者たちも認めるほど、呪術師として優秀な恵だが、その才能ゆえに過酷な境遇に追い込まれていることも間違いない。それは父の甚爾が戦闘力こそ高いものの、呪術界では呪力を持たない“落ちこぼれ”として爪弾きにされたことと対称的な運命にも見える。


  才能に恵まれた若き呪術師は、混沌とした物語のなかでどのような役割を与えられるのか。その行く末に注目したい。


©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会