トップへ

雪国でスーパーカーは売れる? 札幌のランボルギーニ販売店に聞く!

2023年11月24日 11:01  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
スーパーカーのランボルギーニは日本国内に計10店舗のディーラー網を構えている。2023年7月7日にオープンした最新の店舗は、北海道の「ランボルギーニ札幌」だ。そもそも、雪国でスーパーカーは売れるのか。メンテナンスの体制は? いろいろと疑問があったので、冬本番を迎えつつある札幌の販売店で話を聞いてきた。


○北海道でランボルギーニを持つと…



札幌に正規販売店をオープンした理由は? ランボルギーニは①常に新しいマーケットやポテンシャルを開拓していること、②重要な日本市場で特に北海道は需要が伸びていること、③ユーザーから身近な場所でサービスを受けたいとの声があったことを挙げる。このあたりについて、ランボルギーニ札幌の石倉智博サービスマネージャーに具体的な話を聞いてみた。


――北海道に正規ディーラーをオープンした理由について、もう少し具体的に教えてください。



石倉さん:北海道にもランボルギーニのユーザー様はすでにたくさんいらっしゃいます。ですが、これまで道内ではメンテナンスができなかったので、オーナー様には仙台や東京まで陸送でクルマを運んでいただいていました。当然、それには費用と時間がかかるわけで、国産車を維持したり、東京でランボを所有したりするのに比べると、北海道はハードルが高かったんです。



7月にこの店舗ができたことで、ランボルギーニに乗ることのハードルは下がりました。近くに店舗があることにより、親しみやすさも感じていただけると思います。お客さまからは「近くにできてくれたお陰で、ほんと助かるよ」と感謝されることが多いですね。


石倉さん:関東一円のディーラーさんからは、「道内のどこそこにこういったオーナー様がいるんですが、今後はそちらでメンテナンスをお願いできますか」という問い合わせが相次ぎました。他のディーラーさんも、テリトリー云々よりもお客様ファーストで考えてくれているのでしょう。


○ランボの雪上走行は可能か?



――そもそも、冬の北海道でランボルギーニに乗ることはできるのでしょうか?



石倉さん:ストレートにいうと、スーパースポーツ系を雪道で乗るのは厳しいかもしれませんが、その代わりとしてランボルギーニジャパンや各ディーラーが「GIRO」(ランボルギーニ車によるツーリング)やサーキットイベントを積極的に開催しているので、走る機会には恵まれています。



SUVのウルスなら、純正のピレリ製ウインタータイヤが用意できます。新型の「レヴエルト」(ランボルギーニ初のプラグインハイブリッド車)にはブリヂストン製の設定がありますが、冬の北海道で乗れるかというと、なんともいえませんね。



基本的には、やっぱり冬の期間は安全性を考えて乗らずに保管していただいて、4月下旬ごろに始動するというパターン。まあ、“冬眠”ですかね(笑)。それが明けたら整備して乗り始めるという感じでしょうか。


○雪国ではバッテリーチェックが超重要!



――整備やメンテナンスの面で北海道らしいことってありますか?

石倉さん:冬季に乗ったクルマの整備としては、まずバッテリーのチェックが大切です。冬はヒーターが切れないのでブロアモーターが回りっぱなしになりますし、雪が降ると日中でも暗いのでライトを点灯している時間が長くなるんです。その影響でバッテリーがダウンしてエンジンが止まってしまうと、北海道では生死に関わります。



北見や旭川など、とりわけ気温の低い地域ではそうでもないのですが、札幌近郊の道路は寒暖の差があって、溶けた融雪剤がクルマのスチールディスクローターや足回りのアルミのパーツを腐食させてしまうことがあります。春先には下回り洗浄などのプランを提案する必要がありますね。



――正規ディーラーならではのメンテナンスの特徴はありますか?



石倉さん:最も大きな違いというと、専用のテスターを使用して診断するところです。「ODIS(オフボード・ダイアグノスティック・インフォメーションシステム)テスター」と呼ばれるもので、お客様のクルマが入庫すると、まずはテスターをつないで全てのデータを吸い上げてチェックを行い、そのデータをイタリア本社にも送信します。出庫の際には、再びテスターをつないでデータを送ります。そうすることで、全てのクルマの不具合や故障事例、事象などのデータが蓄積されていくとともに、個々のクルマの管理が徹底できます。


石倉さん:通常のメーカーに比べると総生産台数が少ないというのもありますが、本社がそれぞれのクルマを全て把握しているというのはけっこうすごいことです。イタリアと近い感じがするので、お客様にも絶大な安心感となるのではないでしょうか。



レヴエルトのようなコネクティッドカーになると、例えば走行中に警告ランプが点灯したらデータがすぐに本社に飛び、向こうで担当者がチェックしたのちディーラーにも連絡が来る、というような流れになるのかもしれません。



――整備を担当するスタッフについて聞かせてください。



石倉さん:修理・点検作業を実施する「テクニシャン」と、サービスアドバイザーとの調整やテクニシャンのサポート、ユーザーの要求に対応するプロセスと内容の確認を行う「シニアテクニシャン」の2種類です。



テクニシャンはベーシックレベルとして、20コースの自主学習や2時間×6日のウェビナーを通してランボルギーニの歴史やシステムの使い方、技術的な基礎知識を受講したあと、プロフェッショナルテクニシャン認定試験を受けます。テクニシャン任命後3カ月で、ここに達してもらいます。ちなみに、札幌のスタッフは全員、プロフェショナルを取得しています。


石倉さん:次のデベロップメントレベルでは、対面を基本とした新型車のさまざまな実技トレーニングを経てマスターテクニシャン試験を受験します。これが任命後2年以内となります。さらに上級のアンバサダーレベルがありますが、こちらはまだ日本でも世界でも実施されていないようです。

○正規ディーラーでメンテする利点は?



――正規ディーラーでメンテナンスを行うメリットを教えてください。



石倉さん:正規ディーラーに持ち込むことで、個々のクルマを本社レベルで管理してもらえるという安心感がありますし、その履歴が残るとリセールバリューも上がり、ワランティの面でもメリットがあります。結局はおトク、ということになりますね。新車を購入されると、クルマによって3年とか5年のメンテナンスプログラムが自動的に付帯します。それには点検やエンジンオイルなど消耗品の交換費用も含まれているので安心です。



――最後なんですが、結局のところ雪国でスーパーカーって売れるんですか?



石倉さん:ウルスは当然として、ウラカンも含めて満遍なく売れていますよ。新型車のレヴエルトはグローバルで2026年の製造分まで完売していますが、札幌でもオーダーが目一杯まで入っています。なので、スーパースポーツカーだから北海道では売れない、というのは全然ないですね(笑)。


原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)