「ギヤボックスかエンジンかまだわからないです」
F1第22戦ラスベガスGP、残り4周でコース脇にマシンを止めた角田裕毅(アルファタウリ)はレース後、そう語った。
「突然だったのか?」と尋ねると、「そうです」とうなだれた。
角田がマシンに異常を感じたのは、48周目あたりのことだった。「ギヤボックスがなんか変だ。6速か7速がおかしい」と無線でレースエンジニアに伝えると、マティア・スピニは「そのままピットインしろ」と返答した。
ところが、角田がバックストレートに入ると、スピニから「(バックストレートエンドの)ターン14で止めろ」という指示が入り、角田はターン14を直進して、待避所にマシンを止め、コクピットを降りた。
いったい何があったのか?
ホンダ・レーシングの折原伸太郎(トラックサイドゼネラルマネージャー)は、次のように説明した。
「状況としては、あるセンサーからのシグナル(信号)を失いました。そのシグナルを失うと、うまく制御ができなくなるので、走り続けるとエンジンおよびギヤボックスにダメージを与える可能性があるので、止める決断をしました」
では、なぜ「ピットインしろ」という指示から「ターン14で止めろ」という命令に変わったのか?
「最初は瞬間的だったので、ピットインさせようと試みましたが、インラップの走行中に症状が重くなっていったので、止めました」
このレースでアルファタウリはチームメイトのダニエル・リカルドも14位に終わり、ポイント獲得はならず、コンストラクターズ選手権で7位争いをしているウイリアムズとの差を縮めることはできなかった。
ただし、コンストラクターズ選手権で5点差の9位のアルファロメオはバルテリ・ボッタスが7番手からスタートしながら17位に終わり、9点差の10位のハースもケビン・マグヌッセンが8番手からスタートしながら13位と、コンストラクターズ選手権の7位から10位までの争いは、最終戦アブダビGPに持ち越された。
「タイヤをうまく機能させられなかったのが残念でした。ただ、コンストラクターズ選手権で7位を争っているウイリアムズが無得点に終わったので、まだチャンスはあると思っています。予選の後は、ちょっと暗かったんですけど、まだのぞみは捨てていません」(折原GM)
そうなってくると、気になるのが角田のトラブルだ。もし、エンジン(ICE=内燃機関)に不具合が生じていて、新しいエンジンに交換すれば、グリッドペナルティを科せられるからだ。ラスベガスGPを終えた段階で、折原GMは「まさにいま確認しているところです」と言うにとどまった。
角田のマシンに起きたトラブルがなんだったのか? それは角田のマシンだけの問題にとどまらず、コンストラクターズ選手権に関わる、重要な問題になりそうだ。