2023年11月22日 11:31 弁護士ドットコム
1998年に亡くなった「X JAPAN」の元ギタリスト・HIDEさんの墓に、お供え物を置かないでほしいーー。家族がエックス(旧Twitter)でそんなお願いを投稿した。
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HIDEさんを慕う人々は今もタバコや酒、花を供えに来るが、墓が汚れたり、片付けの苦労などの問題があるという。HIDEさんへのお供物をめぐる注意喚起はこれが初めてではない。公式サイトなどで常々発信がある。
著名人の家族に限らず、墓の管理の難しさは多くの家族の間で悩みの種だ。「お気持ち」をむげにもできないが、僧侶でもある本間久雄弁護士は「墓参した際は、お供え物を持ち帰るべきです」と話す。
HIDEさんの実弟の松本裕士さんは11月20日、エックスで「沢山のお酒や、ジュースの缶、ビン、、ふたを開けたままお墓に置かないで」と投稿した。
開封していない缶は破裂し、ビンは割れていたことから、虫が集まっていたという。また、飲料が墓に染みつき、着色がとれなくなってしまったという。
「みなさんどうか、何も持って来なくて大丈夫ですから手を合わせるだけでちゃんと伝わりますから」(松本さんの投稿)
この呼びかけに、「良かれと思ってやってしまう人もいるかと思いますので注意喚起ありがとうございます」などの反応がある。
カリスマ的人気を誇る有名人でなくても、家族が高齢になったりすることで、墓の管理に苦労するケースが増えているという。
自治体も「お供え持ち帰り」の協力を呼びかけている。
岡山県の里庄町は「カラスやタヌキなどの野生鳥獣にとって格好のエサになり、食い荒らしや糞尿による悪臭などの被害につながります」と理由を説明する。
故人を偲ぶ気持ちをむげにはできないものの、かといって管理が行き届かなければ墓が荒れる原因にもなる。難しい問題だ。
僧侶でもある本間久雄弁護士は「持ち帰るべき」と考える。
「お供え物は、放っておくと腐ったり散乱したりして、衛生的にも美観的にも墓地に悪影響を及ぼしてしまいます。お供え物を片付ける墓地管理者にとっても相当な負担がかかると思います。墓参した際は、お供え物を持ち帰るべきです。墓前に故人の好きな食べ物をお供えして、持ち帰って、皆で食べて故人の話題で盛り上がれば、故人もきっと喜ぶことでしょう」
【取材協力弁護士】
本間 久雄(ほんま・ひさお)弁護士
平成20年弁護士登録。東京大学法学部卒業・慶應義塾大学法科大学院卒業。宗教法人及び僧侶・寺族関係者に関する事件を多数取り扱う。著書に「弁護士実務に効く 判例にみる宗教法人の法律問題」(第一法規)などがある。
事務所名:横浜関内法律事務所
事務所URL:http://jiinhoumu.com/