2023年11月12日 07:10 リアルサウンド
戦争を題材としてきた『機動戦士ガンダム』シリーズでは、悲劇的な展開によって不幸な人生を歩む主人公がほとんどである。例えば、家族に恵まれなかったキャラクターや大切な人の死を経験したキャラクターだ。さらに生まれた段階ですでにハードモードな人生が確定している主人公もいる。今回は、ハードな人生を送ってきたガンダム主人公たちについて掘り下げてみたい。
(参考:【写真】「機動戦士ガンダムSEED」のカラーイラストやスケッチなど緻密で独創的なメカニックデザインが生まれるまでがわかる紙面をみる)
■超過酷な環境下に生まれたガンダム主人公たち……
『機動新世紀ガンダムX』のガロード・ランが生まれたのは、荒れ果てた地球。コロニー独立運動をきっかけに巻き起こった戦争で人口のほとんどが失われており、ガロードは太陽の光も届かない場所で幼少期を過ごした。地球の治安は最悪で、戦争孤児のガロードはモビルスーツやその武装を売買するジャンク屋として生計を立てているほどだった。
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場するハサウェイ・ノアもハードな人生を送ったキャラクターの1人だ。好意を抱いていたクェス・パラヤを失うという壮絶なトラウマ経験によりうつ病を発症。大人になると反地球連邦政府運動「マフティー」の中心人物として活動することになったハサウェイは、あと一歩のところで任務に失敗して処刑されることとなる。悲しい結末を迎えたハサウェイだが、テロリストだったことから「自業自得だよね」「ガンダム主人公の中でハサウェイが1番嫌い」という意見が多いのも事実だ。
■家族に恵まれなかった主人公たち
精神崩壊したことで有名な『機動戦士Zガンダム』のカミーユ・ビダンこそが、最も悲惨な人生を送っていると考えるファンも多いようだ。カミーユの置かれた家庭環境はかなり複雑なもので、いわゆる「親ガチャ」失敗のパターンであった。
父親が若い女性と不倫し、母親はそれを知りながら仕事に没頭する日々。両親から愛情を受けられなかった孤独からか、カミーユ自身は感情の起伏が激しすぎる一面を持っていた。そんなカミーユの不安定な精神状態は、Zガンダム搭載のバイオセンサーに大きく影響されてしまう。さらに大切な人が次々と死んでしまったことで、結果的に精神を崩壊してしまった。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』では、主人公のスレッタ・マーキュリーが母親にマインドコントロールされて戦いに挑む姿が描かれた。「逃げたら1つ、進めば2つ」という母の教えに縛られてきたスレッタは、人が逃げたくなるような場面でも前向きに進んでいく。視聴者からは「スレッタの明るさが逆に怖い」「瞳孔が開いていて狂気を感じる」などの声が続出した。
こうして見ていくと、『機動戦士ガンダム』シリーズに登場する主人公たちは不幸な境遇に置かれがちであることがわかる。戦争という題材を扱う作品ゆえに、身近な人の死を経験する主人公も少なくない。ネット上では「むしろハードモードじゃないキャラを探す方が難しい」といった意見もみられた。さまざまな逆境を乗り越えようとするからこそ、より逞しく成長できるのかもしれない。
(文=ヨークシャー)