深夜も営業している店では想定外のトラブルが発生することもある。スタッフの手に負えないと思ったら警察を呼んでしまうのがよさそうだ。
関東圏に住む50代女性は、15年ほど前にファミレスで深夜バイトをしていたが、ある夜とんでもない事態に遭遇した。
「どこかで飲んだ帰りと思われる30歳前後のカップルが入店してきました。しばらくすると凄い勢いで40代くらいの男性が『ぶっ殺してやる!!』と怒鳴り声をあげながら店に入ってきました」
いきなり騒然となった店内。当時店長は不在で、深夜帯のため「キッチン1人、フロア1人の体勢」だった。心細い2人体制の中、フロア業務を担当していた女性が中心となってこれに対処することになった。
「最終的には流血事件にはならずに済みましたが、警察を呼ぶ事態となりました」
と振り返る女性が、当時の状況について編集部に語ってくれた。
男が怒鳴り込んできた後にホステス風の女性がやってきて……
カップルを追って怒鳴り込んで来た男性は、どんな様子だったのか。
「中肉中背で派手な柄シャツを着て少し酔っていた気がします。日本人にも見えましたが言葉の端に外国人訛りの日本語みたいな印象もありました。先入観かもしれませんが、日本人同士ならならないようなトラブルと感じたので」
「ただならぬ出来事でしたが、男性は先に入店していたカップルを見つけると、詰め寄るように店内奥に行きました。何を言っているかまでは聞き取れませんでしたが、すごい勢いで言いがかりのような感じでまくし立てていました」
すると後から、慌てた様子の女性が店に飛び込んで来て騒ぎに拍車をかけた。
「ホステス風の20~30代くらいの女性で、外国人だったかもしれません。男性とカップルが口論しているのを見つけるやいなや、そこに止めに入ってしばらくもめていました」
困ったのは店員である女性だ。他の客は男性数人の1グループと少なかったが、これ以上迷惑が掛かることは避けなければならなかった。
「私はキッチンにいる同僚に店内の様子を伝え、通報をお願いして店内にいる他のお客様たちに簡単に事情説明をし、避難をお願いしたりとバタバタしました。ですが問題の客とは席が離れていたため、いったん様子を見ながら、万が一の場合に備えることになりました。店内対応が私女性1人でしたので協力も申し出てくれましたが、必要性があった場合のみとお答えするしかありませんでした」
いざとなれば男性のグループ客に頼る可能性もあったが、最初から頼りっぱなしになることもできなかった。
警察が駆け付け、大人しくなるかと思いきや……
その後、ようやく警官が到着したが、問題の40代男性とホステス風女性の興奮は止まらなかった。
「カップルのほうは激しく応戦することなくずっと冷静でした。怒鳴り散らしているのは男性と、なだめようとして叫んでいる女性でしたが、警察が来ても様子はあまり変わらなかったです」
そのため、警察は双方を離して事情聴取を始めた。
「店内では迷惑だろうと騒いでいた2人を外に連れ出してくれて、パトカーの中で事情聴取していたようです。カップルの方は店内に残されていましたが、冷静でしたし言いがかりによるトラブルとの判断もあり普通に解放されてました。もちろん外の2人に気づかれないようにですが」
警察が再び入店し「こちらで対応いたします」と声をかけてきたため、女性はやっといつもの仕事に戻った。パトカーはしばらく停まっていたが、気づいたときには居なかったという。
「原因はなんでも居酒屋で飲んでいたカップルと40代男性がトラブルになったらしいのですが、カップルは回避するために店を出てファミレスに移ってきたのを、男性が執着して追いかけてきたのがこの騒動です。店に大きな被害はなかったですが、いろいろと対応に追われた為、その後の業務や閉店作業にとてんてこ舞いでサービス残業となりました」
ほぼ一人で対応し負担が大きかったにも関わらず、役割をまっとうした女性。現在は別の仕事で正社員として働いているそうで、最後にこんな風に感想を漏らしている。
「後で店長に報告したときは、労いの言葉はいただきました。不幸中の幸いだと思いますが、怪我人など出ずに済んで良かったです」
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