面接で会話か嚙み合わないと「落ちたな」と分かってしまう。しかし不採用だとしても互いに最低限の礼儀は守りたいところだ。東京都に住む30代前半の女性は、現在はアパレル関係でアルバイトをしている。
「年齢の関係もあり、このバイトに就くまでに10社以上落ちています。その中の一社で受けた面接が酷かったですね」
と振り返る。面接官は会社の代表の男性で50代くらいだが、応募者にいちいち否定的だったという。一体どんな面接だったのか、編集部では女性に詳しく話を聞いた。
自転車が趣味と答えたのに「電動自転車乗ってるの?」
趣味の話になったとき、「自転車に乗っています」と答えた。すると
「『それは電動自転車?』と聞き返されました。私は『いいえ、クロスバイクといって少し距離を走るのに向いているものです』と答えました。すると『どれくらい走るの』と聞かれたため、『10キロくらい走りますね、例えば地元阿佐ヶ谷から下北沢までとか』と地名を出したところ『それは10キロいかないよね?』と言われました」
なぜか否定的な返しばかりされたが、阿佐ヶ谷から下北沢までは7キロ弱で往復ならもちろん10キロを超える。女性はこう応じた。
「いや、往復ですと10キロ超えますよ?とこちらも負けじと回答しました。でも、そもそも自転車が趣味と答えている人間に『電動自転車乗ってるの?』って、質問の時点でナメてるなと思うべきでした」
ここまでは会話が上手く噛み合わなかっただけとも考えられるが、その後が我慢ならなかった。会話の流れで「もう一つの趣味であるVTuberとして活動するにあたって、PCなどの準備にお金がかかりそうなのでバイトをしたい」と話したところ、
「『それは理解できない気持ち悪い!』と面と向かって言われてしまいました……。VTubeは別に反社会的なものでもありませんし、ここまで言われる筋合いはないなと思ったと同時に『落ちたな』と感じました」
「すぐにテンプレートのような不採用メールが来ました」
この会社以外にもバイトに応募中だった女性は、そのことを正直に面接官に伝えたという。
「合格だった場合は、他社の結果も待ちたいと伝えました。すると、『他社の合否が出たら教えて欲しい』と言うのです。今面接をしている貴社の合否も出してくれてないのに……? そりゃ即決なんてしないだろうが……? と疑問に思いつつ、1週間後に『他の会社はご縁がなかった』という連絡をしました。すると、すぐにテンプレートのような不採用メールが来ました」
他社で不合格になるような人材はいらない、ということだろうか。女性はメールで連絡をしたが、「これを電話でしてたらどうなっていたことか……と今更ゾッとしています」とも振り返る。さらに酷い嫌味を言われていたかもしれない。
「半圧迫みたいな面接をされた上に、おかしな落とし方をされたので非常に傷つきました。その後しばらく面接を受ける元気が出ず、3週間くらい一切の職探しをしませんでした」
とすっかり落ち込んでしまった。無用に傷口を広げられ納得いくはずもないが、現在は
「家の近所で楽しく働けています。日々少しずつですが新しいことを覚えて頑張っています。PCも買えそうです」
とのことで何よりだ。酷い扱いの面接を、こんな風に振り返っていた。
「落ちたのは年齢もあると思いますが、今思えば、自分は頭髪を派手にしています。インナーカラーでピンクにしているため、たとえ『服装髪型髪色自由』で募集していたとしても、職場によっては受け入れられなかったかもしれません。幸いなことに、髪の毛は直さず働ける場所に縁がありました」
そもそも仕事の実力と本人の趣味は関係ないだろう。むしろそんな会社に採用されなくてよかったと言えそうだ。