2023年11月08日 19:41 弁護士ドットコム
司法試験の合格発表があった11月8日、東京・霞が関の法務省前には午後4時前から多くの受験者が列をつくり、歓喜の瞬間を待っていた。掲示板での張り出しはコロナ禍で休止してから4年ぶり。同級生と抱き合って声を上げる人や、静かに電話で報告をしながら涙を流す人などがいた。
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今年度は法曹コース(法学部3年+ロースクール2年)が新設された上、在学中受験が可能となって初めての試験。1781人の合格者のうち在学中受験者は637人と全体の約36%を占めた。在学中受験資格で合格した場合、ロースクールの課程を修了していることが司法修習生の採用要件となる(改正裁判所法66条第1項)。
東大ロー在学中の男性(25歳)は予備試験も通過していたが、在学資格で受けた。中退した同級生もいるというが、「留学したいので大学院の修了資格が欲しいんです。ローの課題がたまっているので、今日はこれから帰ってそれをやらなきゃ」と話す。
慶應ロー在学中の男性(26歳)も2022年の予備試験突破組。一発合格を遂げたものの「同年代の友人は既に合格していたから焦っていた」とほっとした様子。東大4年の男子学生も予備試験1回目で合格。バイト先のコンビニを経営する夫婦と共に訪れ、くす玉と花束をもらった。「お金がないので、親にはこれ以上お願いできないと思い、ロースクールは考えていませんでした。将来は弁護士になりたい」と話した。
若い学生らが集まる中に、社会人経験者の姿も。10年勤めた会社をやめた後、ロースクール未修者コースから受かった男性(38歳)は理系大学院出身、妻と2人の子どもがいる。
「会社のために、あと30年も自分の人生を捧げるのは違うなと思った。やるなら最強資格と考えて挑戦し、子育てと勉強の3年間でした。世の中のイクメンの何十倍も、子どもと接したと思います。修行して、街弁になりたいです」
筑波大の夜間ロースクールに通った公務員男性(30歳)も、妻と2人の子どもと共に法務省前を訪れた。試験勉強は、通信教育などを駆使し、2回目の挑戦で合格した。
「いまの職場をやめるつもりはありません。より深い法律の専門知識を得た上で、仕事に生かしたいと考えています。親戚総出で子育てしてもらい、職場にも理解いただいた。周囲の支援があったからこそ、最後まで頑張れました」