特集上映企画『小津安二郎:モダン・ストーリーズ selected by ル・シネマ』が12月8日から12月14日までBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下で開催される。今年生誕120年、没後60年を迎える小津安二郎監督。世界三大映画祭への『長屋紳士録 4Kデジタル修復版』『父ありき 4Kデジタル修復版』の出品や、『第36回東京国際映画祭』での特集など、再顕彰の動きが広がっている。同企画では、トーキー作品の中から「いま、観てほしい小津作品」をテーマに、『第36回東京国際映画祭』でプレミア上映された『父ありき』『長屋紳士録』『風の中の牝雞』や、『東京暮色』『秋日和』『東京物語』『晩春』『秋刀魚の味』など全12作をピックアップ。小津安二郎の生没日である12月12日をまたぎ生誕120年を祝す特集となる。上映作品は以下の通り。『父ありき 4Kデジタル修復版』『長屋紳士録 4Kデジタル修復版』『風の中の牝雞 4Kデジタル修復版』『晩春 4Kデジタル修復版』『麥秋 4Kデジタル修復版』『東京物語 4Kデジタル修復版』『早春 4Kデジタル修復版』『東京暮色 4Kデジタル修復版』『彼岸花 デジタル修復版』『お早よう デジタル修復版』『秋日和 デジタル修復版』『秋刀魚の味 デジタル修復版』【浅倉奏(Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下)のコメント】「これは私が今日、いま出会うべき映画だった」と思う映画がごくまれにあるとして、小津監督の作品を観ると、ほとんどいつもそう思ってしまいます。小津映画を前にして目に飛び込んでくるのは、時代背景や物語、登場人物の感情、喜怒哀楽よりもまず、「この人の感情は、人生はいまとても揺れているらしい」という「揺れ」です。その揺れのあまりにも大きな動きを見つめるうちにこちらも共振し、やがて、ガラスが割れるのです。私に共振を起こすその特定の周波数を、どういうわけか120年前に産まれた小津監督だけが知っている。「いま出会うべき映画だった」と共振してしまうのは、映された揺れが紛れもなく「現在」のものとしてあるから。その震撼する幸福を抱きながら、今日、いま、小津映画と出会いましょう。