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【漫画】7年ぶりの同窓会、仲良しだった美少女に会いたくない理由は……女子高の青春を描いたSNS漫画が残酷で美しい

2023年11月06日 08:40  リアルサウンド

リアルサウンド

漫画『いばら姫』より

 自分だけが見つけた宝物。その素晴らしさに周りが気づいたとき、どんな感覚になるだろうか。X(旧Twitter)上で10月上旬に投稿されたオリジナル漫画『いばら姫』は、文化祭の出し物「コスプレ喫茶」の準備が進むなか、ひとりの女子高生が、いつも寝ている同級生の美しさに気づいて……というところから始まり、言語化が難しい感情を巧みに表現した作品だ。


(参考:漫画『いばら姫』を読む


 本作を手掛けたのは、小学校時代に夢見た漫画家という仕事に就くべく、幅広い作品を触れながら日々奮闘しているという彦田ジュンさん(@bokosaaamon)。複雑な感情がリアルに描かれた本作がどのように生まれたのか、話を聞いた。(望月悠木)


■筒井を描くうえでのこだわり


――『いばら姫』の制作を決めた時の状況を教えてください。


彦田:とりあえず「女の子2人の漫画が描きたい」と思って2つのプロットとして、本作と、もう片方はスクールカウンセラーの女性と中学生の女の子の話を用意しました。時間が限られている中の制作だったため、スクールカウンセラーの話は急いで描くとシリアスに寄りすぎてしまうと思い、それは避けようと選んだのが『いばら姫』でした。


――千織と筒井はある意味対照的なキャラでした。


彦田:この2人は並んだ時、白と黒で対照的になるように意識しました。メイン2人もモブの子達もそうなのですが、なんとなく昔の友達などを思い出しながら描いた気がします。


――メイン2人もそうですが、登場人物の表情や髪の作画がキラキラしていました。キャラを描くうえで意識したことは?


彦田:クオリティ以前に私はミスが多いので、千織のメガネを忘れないよう気をつけました。現在と過去でちょっと髪型や眉毛に変化があるので、「どの時期に眉毛整え始めたのかなー」などを考えながら描いています。また、モブでもあまり顔が被らないように気をつけています。


――筒井はキラキラ感が強い作画でした。筒井と他の登場人物はどのように描き分けたのですか?


彦田:まず“クラスで一番可愛い子”ということを伝えたかったため一番時間をかけました。特に髪の毛には気を配りました。同じ黒髪のキャラがいても、メインだとわかるようにハイライトをたくさん入れたりなど工夫しました。


■「こういう人いるよな~」と思ってもらえたら


――ストーリーについてですが、女子高生の何気なくも残酷な日常を描いた作品でしたね。


彦田:私自身、女子校出身なので当時を思い出しつつ描きました。「楽しい場所でもあるのですが、やはり独特の空気がある」と思います。


――千織は「クラスの1軍に入りたいけど入れない」と考えていましたが、女子高生ならではのリアルな心境が描かれていました。


彦田:千織に限らず、キャラクターに対して「こういう人いるよな~」と思っていただければいいなと考えて制作しました。とはいえ、これを最初から意識してしまうと中身のないキャラクターになってしまうので、「こういう人いるよな~」はあくまで結果であり、キャラクターを生み出す時は、できる限り行動原理を丁寧に追うことを心掛けています。


――違う場所から同じ空を見上げる2人の姿が映し出されていました。ラストシーンに込めた思いは?


彦田:最後の天気は雨が上がって晴れていたので、「千織の中でも何かポジティブに変わった部分があってほしい」と思って描きました。


――最後に今後の活動目標など教えてください。


彦田:『ボーイミーツ遍在ガール』という作品の4話をゆっくり制作中なので、良かったら暇な時にでも1話から3話を読んで待っていただければ嬉しいです。


(取材・文=望月悠木)