2023年11月05日 09:21 弁護士ドットコム
トラブルの許されない「結婚式」の真っ只中で「停電」を経験したという人たちがいる。SNSには、参列者として参加した結婚式が停電したという事例もちらほら確認できる。
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また、式の主役である新郎新婦が「最悪の悲劇」に見舞われたケースも。定番の「親への感謝の手紙」を読んでいるタイミングで停電したという新郎新婦もいるようだ。
弁護士ドットコムに寄せられた相談によると、停電の影響で「手紙」は割愛され、BGMが消えた会場では、新郎がマイクなしで挨拶する事態になったという。
停電は広域に発生したものではなく、式場側の過失によるものとわかっており、式場側に結婚式の費用返還をもとめたい考えだ。
消費者問題にくわしい金田万作弁護士に聞いた。
——停電でイベントに影響があった場合、新郎新婦は式場に返金や損害賠償をもとめられますか
式場側の過失で停電し、途中からBGMなどの提供がなかったということは、式場が「債務の本旨に従った履行をしていない」と言えます。
その結果、新郎がBGMやマイクなしで挨拶する事態になり、さらにクライマックスの「親への手紙」も実施できなかったので、損害賠償の請求が可能です(民法415条)。
すでに結婚式は終えているので、契約解除によって返金をもとめる手段はそぐわず、損害賠償とするのが通常だと考えます。
問題となるのは、今回の事態について、いくらの損害があったと評価するかです。
停電があった「親への手紙」が始まる前まで、式は支障なく進行して、すでに食事などの提供が完了していたとします。
この場合、結婚式費用の全額を損害とするのは難しいと考えます。
BGMやマイクというのは、契約にもよりますが会場費に含まれると思われます。その提供を受けられなかったので会場費の一部は少なくとも損害と考えられるでしょう。
さらに、結婚式は人生における重要な行事です。式のために高額な費用も支払っていることに加え、親への感謝の気持ちを伝えるクライマックスのイベントが台無しになってしまったのですから、精神的損害も生じています。
精神的慰謝料について具体的な金額をあげることは難しいですが、今回のようなトラブルは式場側の過失で(故意ではない)、式全体がダメになったというわけではないので、そんなに高額にはならないのではないかと考えます。
【取材協力弁護士】
金田 万作(かなだ・まんさく)弁護士
第二東京弁護士会消費者問題対策委員会(電子情報部会・金融部会)に所属。投資被害やクレジット・リース関連など複数の消費者問題に関する弁護団・研究会に参加。ベネッセの情報漏えい事件では自ら原告となり訴訟提起するとともに弁護団も結成している。
事務所名:笠井・金田法律事務所
事務所URL:http://kasai-law.com