2023年11月03日 08:40 弁護士ドットコム
弁護士ドットコムでは、盗撮の当事者(被害者・加害者)をはじめ、ひろく盗撮についての意識調査(期間:9月6日~9月11日)を行い、全国の974名から回答が寄せられました。
【関連記事:【前編】盗撮加害者の本音「バレなければいい」「精神的に追い込まれていた」 場所は商業施設が最多】
調査結果を紹介する前編の記事では、回答者全体の25.3%が盗撮をされた、されたのではないかと感じている実態が浮き彫りになりました。男女別に見ると、女性の場合は44.0%というのも特筆すべき点です。
後編となるこの記事では、盗撮への対処、また被害者や加害者の声をご紹介します。
盗撮された人に、 盗撮に対してどのように対処したかを尋ねたところ(複数回答)、相手に抗議したが22.0%、家族や友人に相談したが14.6%、警察に通報したが12.6%、弁護士に相談したが5.3%、何もしなかったが50.4%、その他が11.4%となりました。
「その他」の回答では、「抗議したかったが相手が逃げた」などがありました。
日常生活で盗撮行為に気をつけている場所を尋ねたところ(複数回答)、「トイレ」が31.2%、「更衣室、脱衣場」が24.8%、「エスカレーター、階段」が20.6%、「電車やバス」が19.9%、「プールや海辺、ジム」が14.0%、「気をつけていない」が49.3%、「その他」が6.5%となりました。
その他の回答には、「子どもの行事のとき」、「家の中にいる時に、浴室の窓やドアの隙間など」、「人が多くごちゃごちゃしてる場所」などがありました。
盗撮についてのエピソードや意見として、以下の声が寄せられました。
【加害者の声】
「何年も前のことで自分のやっていることが盗撮という意識がなかったが、一度陸上競技場で校内放送で注意されたのが自分のことだと、後で気がついた」(60代・男性)
「盗撮したことがあり、相手にも自分にも大きな影響を与えたため、もう自身としても2度とするまい、と心に決めているが、自分の生活や心境だけでなく相手方や、場合によっては自分の周囲にも多大なる迷惑をかけることになるため、抑止力を強めることは大事だと思う」(40代・男性)
【被害者の声】
「車椅子男性から身体介助してほしいと言われて、フットレストの足の上げ下ろしを手伝ったところ、屈んだ際の胸を盗撮されていた」(20代・女性)
「娘が通っていた中学校で、教師が生徒を盗撮した事件があり、その教師は退職したが、とてもショックだったのと、校長が謝罪責任回避したのが許せなかった」(60代・女性)
「エスカレーターや道端で携帯から盗撮されたりする事が多い。太ももに何かが辺り、下を向いたらフラッシュやライトを使っているのですぐ分かる。叫んだら周りが協力して犯人を捕まえられるが、逮捕されても1度目では前科にならず不起訴処分とは処罰が甘いと思っていた。また示談金の相場もすごく低い。性犯罪として強く取り締まるべき」(30代・女性)
「大学生の時、本屋で本を物色している際にスカートの中を盗撮された。盗撮犯はカバンにカメラを仕込んでおり、カバンを床に置いて足でカバンをジワジワこちらへ寄せてきた。足元を見ると、カバンのファスナーが少し空いておりカメラが見えた。すぐにその場を離れて店員に伝えたが、盗撮犯は逃亡済みだった。盗撮犯に直接抗議するのは怖くてできなかった」(30代・女性)
「カフェで向かいの席からスマートフォンのシャッター音が聞こえて反射的にその方向を見ると、男性がスマートフォンを素早く隠すような動きをしていました。私は普段より短めでタイトなスカートをはいて座っていたので、下着を撮られてしまったかもしれないと数日間鬱々としながら過ごしました」(20代・女性)
「トイレの個室にいた際に隣の個室の人が手を伸ばして上からスマホをこちらに向けていた」(20代・男性)
「中学生の頃、学校併設のプールの脇にカメラが仕掛けられていたと警察から話がありました。そのプールは地上よりは高い位置にあるものの、大人は背伸びすれば、または背の高い人ならば外からも覗ける程度の高さしかなく、周りは目の粗い学校によくあるフェンスに囲まれていました。外からフェンスの隙間を縫って小型カメラ(計3台)を投げ入れての犯行だったと聞いていますが、その執念に驚いたのを今でも覚えています」(20代・女性)
「銭湯の脱衣所でスマホをいじっている50代-60代の女性に盗撮された。自分のロッカー内でスマホをいじっていたのだがインカメラになっていて、盗撮している女性の後ろにいる女性たちが撮られていた。すぐに番頭さんに耳打ち後、女性警官が駆けつけて御用となった。画像や動画を高く買ってもらう…というお小遣い稼ぎをしていたとのこと。女性だからこそ許せない。どこも信用できなくなった」(40代・女性)
「家庭内盗撮は、おそらく対象外かと思う。しかし同意なく撮影しているのは、盗撮に他ならなく、法律ではそれも含めて対応して欲しい」(50代・女性)
「20歳くらいで会社の寮に住んでいた時、風呂場のドアにカメラを仕掛けようとした跡があり、そこに取り付けられなかったようで、居室の戸のない押し入れに入れてあった衣装ケースの中に、部屋全体が映るようにカメラが仕込まれていた」(40代・女性)
「過去、社内で同僚が上司に盗撮されたことがあった。何気ない日常の表情等だが、明らかにその子を対象として画像を保存していることが発覚。その上司は解雇されました」(40代・女性)
【盗撮犯をつかまえた・教えてあげた人も】
「オフィス街の昼休みの時間帯、革靴の紐のあたりに小型カメラを付けて信号待ちの女性のスカートを盗撮していた50代男を私人逮捕したことがある。10年近く前の話」(30代・男性)
「盗撮犯を捕まえたことがあるが、彼らは即座にSDカードを破壊するなど手慣れており、下手をすると立証できないこともあると感じた。その時は自供していたため特に問題にはならなかった。」(40代・男性)
「妹が盗撮カメラをトイレ内で見つけたことがあり、通報したそうです。また私の元夫も盗撮を繰り返していました」(40代・女性)
「始発近くの十三駅から池田までの阪急電車内で女子高生の股間を撮っている方がいたので目の前で踊ってメモで学生に教えたことならあります」(40代・男性)
【予防策について】
「成人向けビデオで盗撮ジャンルがあるが、実際に同様のことを行った場合には犯罪となり、どのような罰を受けることになるかをビデオの最初と最後に表示することを義務付けるべきだと思う」(50代・男性)
【その他】
「東京在住で、電車に乗る時には、駅への移動を含めて、スマートフォンは一切見ない。理由は、盗撮していると疑われたくないから」(40代・男性)
「『盗撮してみたい』という欲求が湧いたことが一度もないと言えば嘘になるので、理性で抑えるためにも厳罰化して抑制することは大事だと思う」(40代・男性)
「外で刺激的な格好(完全に見えている)の人を見た時や見えるように授乳している人を見た時に魔が差しそうになったことがある」(30代・男性)
「プロ野球公式チアの写真をよく撮影しているが、脚を高く上げてスパッツ(股間)が丸見え、といった写真も堂々と撮っている(球団もチアの撮影を許可している)し、それをSNSにアップしている。股間が見えようが脚を開こうがそれは美的な姿態であり、価値のあるものだ」(50代・男性)
「子どもが幼稚園の頃、水遊びさせていたら、子どもを連れていない(であろうと思われる風貌の)成人男性が子どもにカメラを向けていた。水遊び場には子どもを半裸・全裸で遊ばせている親もいるので、親の方も子どもが盗撮の対象になりうるという意識がまだまだ低いのかなと思った」(40代・女性)
「人事従事者の企業交流会等で各社内でのトイレ盗撮による懲戒案件を複数社で聞いたことがある。盗撮は、一番身近な犯罪かもしれないと考えが変わった」(40代・女性)
前編では、盗撮に関するアンケートの結果を紹介しています。