トップへ

TSI HDがスパイバーと協業、「アドーア」を皮切りに人工タンパク質素材を採用

2023年11月01日 13:01  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com


Spiberの人工タンパク質素材「ブリュード・プロテイン」

Image by: Spiber
 TSIホールディングスが、バイオベンチャー企業のスパイバー(Spiber)が手掛ける環境配慮型新素材「ブリュード・プロテイン(Brewed Protein)繊維」を使用した製品生産の取り組みを開始したと発表した。

 スパイバーは、人工タンパク質素材「ブリュード・プロテイン」を開発するバイオベンチャー企業として、2007年に山形県鶴岡市で創業。同社が展開するブリュード・プロテイン繊維は、植物由来のバイオマス(再生可能資源)を原材料に微生物の発酵によって生産した粉末を加工することで、シルクのような光沢と繊細さをもつフィラメント糸や、なめらかな肌触りのカシミヤ、嵩高性に優れたウールのような質感の紡績糸を生み出すことができる。同社の研究によると、同繊維は、高級獣毛であるカシミヤ繊維の生産時と比較して79%の二酸化炭素排出量低減や、99%の土地使用量削減、97%の水使用量削減を見込むことができるほか、素材自体に生分解性があるため、石油由来製品によるマイクロプラスチック排出の課題解決への貢献も期待できるという。
 今回の取り組みは、2050年にカーボンニュートラル実現を目指すTSIホールディングスが、低環境負荷素材の使用を推進する活動の一環としてスタート。同社はブリュード・プロテイン繊維を用いて生産した製品を、11月30日にウィメンズブランドの「アドーア(ADORE)」を皮切りに販売を開始し、今後はグループ内の他のブランドでも順次展開を予定している。
 なお、スパイバーは10月31日に、化学素材メーカー 小松マテーレとの「共創パートナーシップ体制構築」を発表。ブリュード・プロテイン素材を活用し、透湿防水膜への応用や新しい皮革代替素材の開発などを共同で手掛けていくという。