理不尽な職場で働いていたら、誰しも限界を迎えるだろう。40代前半の女性(福岡県/事務・管理/年収350万円)もその一人だ。それは、ある福祉施設で働いていたときのこと。そこは「同族経営で、創業者の娘が施設長」だったという。(文;長田コウ)
「職員の待遇を上げてどうなるの?人件費増えるだけじゃない!」
女性は施設長について、
「最初から職員たちも『お嬢様、お嬢様』扱いしてたので、下積みなしでずーっとウン十年働いていたとのこと。その間に帝王学を学んでくれたのならよかったけど、残念ながらお勉強は嫌いな方だったようで……」
と、皮肉めいた言葉を漏らす。
「年を取って施設長の地位には就いたけど、人格と運営の知識がついていってない残念なパターン」で、「学ばない上司の下にいるのは本当に大変ですし、職員は不利益を被ります。学ばないので視野は狭く、やり方考え方は創業者の時代(=昭和)のまま」とこぼす。さらに、
「とにかく感情的だわ、好き嫌いですべてを決めるわ、ボーナスの査定会議とかは平気で『あんな人にボーナスあげたくなーい!』と金切り声で叫ぶわで、中途で入った職員は全員唖然としてました」
「評価面談とか一切なし。ボーナス額や昇給、全ては女帝様の一存で決まります」
と、施設長に対する不満が延々と綴られている。
勝手気ままな施設長のありさまゆえに「奉公人扱い」だったと女性は語る。中でも、給料に関しては厳しかったそう。「コロナで連勤、夜勤を多くこなした職員」でも「通常の手当て」しか出さなかったという。この対応についても、施設長の女王様ぶりは否めない。
「職員が『別の施設ではこうしていますよ』と言おうもんなら、途端に機嫌が悪くなり、キャンキャンキャンキャン怒鳴りはじめ、ペンで職員の目を突き刺そうとするような仕草をします」
しかも、この理不尽すぎる態度について「本人は自覚ない」というからウンザリだ。さらにこんな言いがかりもつけてきたそうだ。
「職員の待遇を上げてどうなるの?人件費増えるだけじゃない!儲けもないのに!職員がつけあがるだけよ!」
ネットサーフィン&昼寝、プラプラお散歩…なのに厚遇される古株社員
口では強気なことを言うが、施設長としてやっていく自信がなかったのだろうか。「創業者時代から勤務している古株職員を異様に厚遇」していたという。そんな古株社員の働きぶりは、というと…。
「定年はとっくに過ぎ、70代後半にもなろうという職員が複数いましたが、仕事をしません。一日中デスクに座ってネットサーフィン&昼寝、プラプラお散歩、施設の車で買い物ついでにドライブ、ひどいときは所在不明」
「女性の古株社員は電話に出ない、あちこちうろついておしゃべりばかり、面倒な仕事は全部『私できなーい』と他の事務員に丸投げ。ネットで物品注文をするのですが、詐欺サイトにひっかかり、でも本人は『とんずら』」
「彼ら彼女らが仕事をやらない分、それが現役世代に加重で丸投げです」
古株社員は「全員嘱託扱い」だったものの、「給与は現役時と同じ」だったそう。「年功序列」のため古株社員というだけで「給料が異常に高い」のだ。「その分、若手や現役の給与が抑えられて」いたというのだから堪らない。仕事量と給与が見合っていなければ怒りを覚えるだろう。しかし、そんな古株社員に対し、施設長はもちろん「注意も指導もしませんでした」という。そればかりか……。
「『功労者だから~』と。だから彼らは自由自在に過ごして、給料全額ゲットです」
意見したらボーナスを下げられ、翌月に退職
古株社員たちの「ミスの尻ぬぐいも重なり」、さすがにしびれを切らした女性が施設長に、この状況の改善を提案したところ、
「功労者だから~。あなた達がフォローして当然じゃない?助け合わないの?あなた達はキャリアアップしたくないの!」
と、またもや古株社員をかばうような言い方で「逆切れ」されてしまったという。このことが施設長にとって、気に入らなかったのだろうか。直後、女性のボーナスが下げられたそう。今まで、あらゆる理不尽な態度に耐えてきた女性だが、さすがに限界だったのだろう。女性は「次の月に退職」した。
退職して、全てが吹っ切れたように最後にこう綴った。
「同様に他の職員も退職が続いているそうです。古株達は全員残っています。いずれは何か起こるでしょう。頑張る現役職員が本当に気の毒です。こんな品格も力量もない経営者もいます」