10月29日、2023MotoGP第17戦タイGPの決勝レースがチャン・インターナショナル・サーキットで行われ、MotoGPクラスは最終ラップまで続いた接戦を制したホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)が今季4勝目を飾った。
決勝レースは気温31度、路面温度39度のドライコンディションで行われた。土曜日のスプリントレース同様、ポールポジションスタートのマルティンがホールショットを奪ってトップに立った。その後ろに続いたのは3番手スタートのアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング)、3番手にはルカ・マリーニ(ムーニーVR46レーシング・チーム)がつける。また、マルティンとタイトル争いを展開中のフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)は6番手を走行していた。
3周目、4番手を走行していたブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)がマリーニをかわして3番手に浮上。さらにアレイシ・エスパルガロが後退したことで、ビンダーが2番手にポジションを上げ、マルティンを追う。ビンダーの後ろには、アレックス・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)が3番手に浮上した。
レース序盤の展開は混戦では6番手という状況だったバニャイアだが、8周目には5番手に浮上。ベストレースラップを更新するタイムを叩き出すと、前を走る4人のライダーに迫る。
レース中盤の10周目、上位はマルティンとビンダー、アレックス・マルケス、マリーニ、バニャイアというオーダー。バニャイアはこの周にマリーニをオーバーテイクして、4番手に浮上した。
トップのマルティン、2番手のビンダー、3番手のアレックス・マルケスは、それぞれ0.2秒ほどの差を保って周回を重ねる。しかし14周目、3番手を走行中だったアレックス・マルケスが10コーナーでクラッシュ。リタイアとなり、代わってバニャイアが3番手に浮上した。
20周目を迎えると、ビンダーがマルティンに接近。オーバーテイクを仕掛けようと挑むも、マルティンもトップを譲らない。そんなふたりの後ろに3番手のバニャイアがついている。緊迫したトップ争いが続いた。
残り5周、8コーナーでビンダーがついにマルティンをオーバーテイクしてトップに立ったが、残り2周ではマルティンが2コーナーのブレーキングでビンダーからトップを奪い返す。さらに3番手だったバニャイアが最終コーナーでビンダー、マルティンをパスしようと仕掛けるも、これはうまくいかずに再び3番手へ後退。激しいトップ争いは最終ラップに持ち越された。
ビンダーは前を走るマルティンの隙をうかがうも、マルティンの守りは固かった。マルティンはビンダーのオーバーテイクを許さず、トップでフィニッシュラインを駆け抜けた。2番手はビンダーだったが、最終ラップの4コーナーでトラックリミットを超えたため、1ポジションダウンのペナルティを受け、結果は3位。3番手でゴールしたバニャイアが2位を獲得した。
チャンピオンシップとしては、ランキングトップのバニャイアとランキング2番手のマルティンとの差は13ポイントに接近した。
4位はマルコ・ベゼッチ(ムーニーVR46レーシング・チーム)、5位にはアレイシ・エスパルガロが入った。10番手からスタートしたファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は6位、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)は7位。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は14位でゴールした。
《追記》
アレイシ・エスパルガロのマシンのフロントタイヤは、レギュレーションにあるタイヤプレッシャーコントロールシステムの、規定されたタイヤ空気圧を下回っていたため、レース後に3秒の加算ペナルティが科された。それにより5位から8位に下がった。
このルールは後半戦の第9戦イギリスGPから導入されたもので、第1度目はペナルティがないが、2度目からペナルティが科される。2度目の事例はこれが初であるため、このルールでのペナルティはアレイシ・エスパルガロが初となった。
タイヤプレッシャーコントロールシステムの詳細は1回目が警告、2回目が3秒加算のペナルティ、3回目が6秒加算のペナルティ、4回目が12秒加算のペナルティとなる。