10月26日(木)、WRC世界ラリー選手権第12戦『セントラル・ヨーロピアン・ラリー』が、シリーズ初開催となるチェコで開幕した。ラリーの競技初日は同国で2本のスーパーSSが行われ、4台のトヨタGRヤリス・ラリー1で参戦するTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)ではセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組が総合3番手で陣営最上位につけた。
チームメイトのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組が総合4番手で続いた一方、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組はやや離されて総合8番手に。また、TGR WRCチャレンジプログラムにより非ワークスノミネートのマシンで出場している勝田貴元/アーロン・ジョンストン組は、総合6番手でデイ1を終えている。
ドイツと隣国のチェコ、さらにオーストリアの三カ国を舞台とするセントラル・ヨーロピアン・ラリー。今季唯一の新規開催イベントであり4月以来、ひさびさに行われるターマック(舗装路)ラリーである同イベントが、25日のシェイクダウン、翌26日にチェコの首都プラハで行われたセレモニアルスタートを経て開幕した。
競馬場内の道を走行する全長2.55kmのSS1は、一部がグラベル(未舗装路)のミックスサーフェスステージとなり、このスーパーSSではオジエがステージ2番手タイムを、勝田が7番手タイムを記録した。
続くSS2は、クラトビー村の舗装路を周回する8.92kmのスーパーSS。夕闇が迫り、小雨も降る中で行われたSS2で5番手タイムを記録したオジエは、首位と5.8秒差の総合3番手に。
同ステージで3番手タイムを記録したロバンペラは総合4番手に順位を上げた。一方、ロバンペラとドライバーズタイトルを争うエバンスは、SS2でジャンクションをオーバーシュートした影響もあり、総合8番手で競技初日を終えている。日本人ラリードライバーの勝田は総合6番手。上位に付ける5番手テーム・スニネン(ヒョンデi20 Nラリー1)とのタイム差は1.8秒だ。
27日(金)のデイ2は、ドイツ南東部の都市パッサウのサービスパークを起点に、SS3からSS8まで計6本のステージすべてがチェコで開催される。ミッドデイサービスは設定されず、プラチャティツェに設定されるタイヤフィッティングゾーンを挟んで3本のステージを各2回走行する。大会最長となる競技2日目のSS合計距離は121.80km、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は524.13kmとなっている。
■TGR-WRTドライバー&チーム代表コメント
●ヤリ-マティ・ラトバラ(チーム代表)
「新しいWRCイベントのスタートに参加することができて嬉しく思う。新たなる開催地を訪れるのはとても楽しいし、今日はWRCを初めて迎えたプラハで、多くの情熱と熱狂を目の当たりにした。また、最初の2本のステージに大勢の観客が集まったのも嬉しかった」
「選手たちにとっては長い一日となり、SS2は路面が少し湿っていてフィーリングを得ることが難しく、すでにかなりトリッキーだった。明日はさらに多く雨が降りそうなので、非常に厳しいコンディションになるかもしれない」
「ドライバーたちは、今少し遅れをとっていても、あまり気にせず我慢する必要がある。なぜなら、この種のラリーでは難しい天気になるとタイヤ選択が重要になり、状況が急激に変化した時に大きく挽回するチャンスが巡ってくるためだ」
●カッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1/デイ1総合4番手)
「ラリーが始まって良かった。レッキではすべてのステージが新しかったこともあって長く感じた一週間だったが、プラハでは多くのファンに見守られ、素晴らしい雰囲気のなかで開幕を迎えることができた」
「ラリーは難しい2本のステージで始まったが、2本目のステージはトリッキーなブレーキングゾーンと高速コーナーがあり、とくに難しく感じた。また、天候の予測も難しく、今日は最適なタイヤ選択ではなかったかもしれない。それでもうまく乗り切れたと思う。明日はこのラリーでもっともタフな一日になりそうだが、出走順が一番手である自分たちに天候が味方してくれることを願っている」
●エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1/デイ1総合8番手)
「自分たちにとっては非常にトリッキーなスタートになった。最初のステージは、路面クリーニングの影響も少しあり、タイムはあまり良くなかった。2本目のステージは、速さに関しては問題なかったのですが、かなり高速な区間のブレーキングポイントでミスをしてオーバーシュートしてしまい、タイムをかなり失ってしまった」
「理想的とは言えない状況だったが、それさえ除けば悪くないフィーリングだった。天候がどうなるのか見えないなか、難しい週末になりそうだし、ステージはコーナーをインカットする場所や路面変化が多いので、明日はどれだけうまく対応することができるか、様子を見たいと思う」
●セバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1/デイ1総合3番手)
「わずか2本のステージを走るための長い一日だったが、プラハでは多くのファンが我々を見に訪れるなど、ラリーをスタートするにはいい場所だった。最初のステージはとくに問題なかったが、2本目のステージは暗く、いいリズムを感じることができなかった。明日の朝は、もっといいフィーリングを得られるように努力しなければならない」
「コンディションはかなり難しくなると思うので、タイムを落とさないように速く走ることが重要になる。チェコのステージは全体的にかなり道幅が狭く、非常にハイスピードだ。そのためウエットコンディションになるとグリップの判断が難しくなるだろう」
●勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1/デイ1総合6番手)
「デイ1が終わって総合6番手。SSSとナイトステージを終えました!」
「明日からコンディションも含めてかなり難しい週末が始まります! 集中していきます」
※X(旧Twitter)より