面接官も誠意をもって接するべきだろう。「聴覚障がいがあります」という長野県の50代後半の女性。自身について、
「補聴器をつけて、相手の口元を見れば話していることは理解できます」
「電話は声は聞こえますが言葉がわかりにくいため、電話はできません」
と書いている。そんな女性は今から20年ほど前、ハローワークの障がい者求人で、「大手生命保険会社の一般事務の面接」を受けることになった。面接官は女性よりもひとまわり年下と思われる若い男性2人だったという。(文:谷城ヤエ)
「あなたのような電話もできない、話し方もまともじゃない人」と言われ……
「自己紹介と入社を希望する動機などを話したあと、相手から言われた言葉が『履歴書にはあなたの障がいは聴覚だけだと書いてありますが、知的障がいもありませんか?』です」
まさかの質問に「は?どういうことでしょうか?」と聞き返した女性。すると面接官は「フッと鼻先で笑いながら、『喋り方が知的障がい者独特ですね。嘘を書いたり隠したりすると良くありませんよ』」と言ってきたという。
「私は子どもの頃の高熱のせいで少しずつ聴こえなくなってしまったため、完全に言葉を覚える前に難聴になったからなのか、アクセントやイントネーションがおかしいとよく言われていました」
しかし「知的障がい者特有の喋り方と言われたのは35年間の人生の中で初めて」だったそう。
「唖然としている私に『あのね、うちは障がい者を雇用しようと思ってるけど、障がい者の中でも、あなたのような電話もできない、話し方もまともじゃない人よりも、車いすだけど、歩けないだけで電話も窓口もきちんとできるような人が欲しいわけ、わかる?』とかなりな上から目線で言われました」
面接結果は「不採用」。女性自身を侮辱した面接官の態度はあまりにも失礼なものだ。
「あまりの屈辱にハローワークの担当官に訴えましたが、『仕方ないね』だけで終わりです。当時、その企業の生命保険に入っていましたが、即刻解約したほど嫌いな企業になりました」
「あれから20年、さまざまな仕事をしてきましたが、聴覚障がいがあっても障がい者枠ではなく普通に採用して働かせてくれたお店もありましたし、管理者が理解してくれても現場がひどかったりの職場もありましたが、あの会社の対応は今でも忘れられない苦い思い出です」
と、つらい過去を振り返った。当時の面接官が態度を改めていることを願う。
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