2023年10月24日 11:10 弁護士ドットコム
「妻が会員制サイトでヌードになっていた」「妻のSNSで下着を脱いだ写真を見つけてしまった」。弁護士ドットコムには、妻の秘め事を見つけてしまった夫たちから、複数の相談が寄せられています。
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自撮りではなく、第三者が撮影しているものばかりだといい、裸を見せている相手がいるということに精神的な苦痛を感じているといいます。離婚することの理由にできるのでしょうか。寺林智栄弁護士に聞きました。
ーー妻が応じてくれない場合、どうすれば離婚できるでしょうか?
応じない場合は調停・裁判まで持ち込むことになりますが、裁判で離婚ができるケースは法律上、限られています。「婚姻を継続し難い重大な事由」という裁判上の離婚原因があるといえるかどうかが問題となります。
例えば「いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、一般の人の性的羞恥心を害して善良な性的道義概念に反する」といった最高裁判決の要件を満たし、わいせつ物頒布等罪(刑法175条1項)に該当するような場合には、犯罪行為を行ったということになるので、裁判離婚原因に該当すると言えます。
また、写真の状況や付された文言から見て、不貞に該当することが明らかな場合も裁判離婚原因に該当します。
なお、私個人の経験ですが、不貞とは法的に断定できなくても、不貞をしたと誤解させたことに帰責性が認められる場合に裁判で離婚が認められたことがあります。この点を踏まえると、不貞だと誤解させるような状況下での写真やSNS投稿だった場合には、離婚が認められる可能性があります。
いずれの場合も、金額は写真や投稿の内容によりますが、慰謝料の請求も認められるでしょう。
ーーヌード写真が、わいせつ物頒布やわいせつ物陳列罪などの刑事責任に問われる可能性はあるのでしょうか? その場合、離婚調停や裁判に有利になりますか? 慰謝料等はとれるでしょうか?
写真の内容やSNS投稿の文言によっては、刑事責任を問われると思われます。「わいせつ物」の要件については、先に述べたような基準が最高裁判決で提示されています。それに則って判断されます。
犯罪行為を犯しているという場合には、それ自体が裁判離婚原因にもなりますので、有利になると思います。
ーー撮影者との関係は不明ですが、不貞行為ということはできますか?
一概には言えないと思います。カメラマンが撮影しているケースもあると思われます。ですが、写真の状況(例えば男女が絡み合っているようなシチュエーションなど)やSNS投稿の内容で不倫と判断できる場合もあると思います。ケースによるでしょう。
【取材協力弁護士】
寺林 智栄(てらばやし・ともえ)弁護士
2007年弁護士登録。札幌弁護士会所属。法テラス愛知法律事務所、法テラス東京法律事務所、琥珀法律事務所(東京都渋谷区恵比寿)、ともえ法律事務所(東京都中央区日本橋箱崎町)、弁護士法人北千住パブリック法律事務所(東京都足立区千住)を経て、2022年11月より、NTS総合弁護士法人札幌事務所。離婚事件、相続事件などを得意としています。
事務所名:NTS総合弁護士法人札幌事務所
事務所URL:http://nts-law.jp