2023年10月23日 19:51 弁護士ドットコム
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の「ダミー団体」などとされて名誉を傷つけられたとして、世界平和女性連合(WFWP)が、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の弁護士7人を相手取り、3300万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が10月23日、東京地裁であった。
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原告側はWFWPの堀守子会長と代理人の徳永信一弁護士、被告側は被告含め19人の弁護士が出廷し、双方が10分ずつ意見陳述した。
堀会長は「『ボランティア活動を仮装』などの表現は、会員たちの誇りを踏みにじるもの」などと訴え、同団体が主催する日本語弁論大会は宗教や旧統一教会とは無関係だと強調した。一方、被告側は長年にわたって旧統一教会の伝道・教化課程の違法性を問うてきた弁護士3人が陳述。岡山県の河田英正弁護士は「被害者からの相談では、女性連合の名称をよく耳にした。全く独立しているとは到底思えない」と述べた。
この訴訟は、2023年6月15日に全国弁連が発表した「女子留学生日本語弁論大会について」で「ダミー団体」「隠れみの団体」と表現したことについて、女性連合が7月に提起した。女性連合側は創設者が教団創始者の文鮮明氏と妻・韓鶴子総裁で「友好団体」ということは認めているものの、布教や人集めはしていないなどとして「宗教迫害だ」と主張している。
被告側は答弁書で、女性連合が民事訴訟法上の「権利能力なき社団」としての要件を満たしていないとして、却下を求めた。2018年に韓総裁が米国での訴訟で「私は(真の母として)国際世界平和女性連合に究極的な権威を有している」などと供述したことを挙げ、日本の堀会長の選出にも韓総裁の関与が疑われるなどとした。
弁論後、会見した被告側の飯田正剛弁護士は意見陳述の内容について「信者など内部の結束を高める意味があったのではないか」と指摘。加えて、紀藤正樹弁護士は「先に英語があって日本語に翻訳したという印象。自分たちは弾圧されているというパフォーマンスで、海外はだまされてしまう可能性がある」と見解を述べた。
また、女性連合側も会見し、傍聴に入りきれなかったとみられる主に中高年の女性150人ほどが集まる会場で報告。徳永弁護士や堀会長が発する言葉に時折、一斉に笑い声や拍手が上がる状況だった。
堀会長は自身が日本の旧統一教会元会長・小山田秀生の娘であることを明らかにした上で、2世として旧統一教会の献金被害については「複雑な思い」「悲しくて残念」と発言。一方で、女性連合の運営や資金については教会と関係がないと繰り返し強調した。
堀会長によると、女性連合の会員は10月時点で1万2320人。さまざまな信仰の人がいると説明したものの、旧統一教会の信者の比率は明らかにしなかった。被告側は、2016年から会長職を務める堀会長の選任の経緯が不明確だと指摘しているが、堀会長は「役員総会などを経由している」と反論。規約に「任期は1年」と定められているにもかかわらず、「任期は特にありません」と説明し、徳永弁護士が即座に発言を修正する場面もあった。