トップへ

『呪術廻戦』虎杖vs脹相でさらに過熱! 原作を“再解釈”したド迫力バトルの凄さを考察

2023年10月21日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

  渋谷を舞台として、呪術師や呪霊による戦いが白熱し始めているアニメ『呪術廻戦』のシーズン2。10月12日に放送された第36話「鈍刀」では、主人公の虎杖悠仁が脹相と邂逅を果たし、一触即発の雰囲気となっていた。


(参考:【写真】『呪術廻戦』リアルに再現した五条悟のフィギュアを見る)>【写真】のリアルに再現した五条悟のフィギュアを見る)


  今後、さらに激しい戦闘へとなだれ込むことが予想されるが、そこで注目したいのが「原作をいかにアレンジするのか」という点だ。これまで同作では、原作の設定や描写をアニメスタッフが“再解釈”するようなアクションシーンが描かれてきた。


■ロボットアニメのような作画のオンパレード


 具体例を挙げると、たとえば第31話「宵祭り」の究極メカ丸(与幸吉)と特級呪霊・真人によるバトルが印象的だ。与がダム湖に隠していた巨大な傀儡を起動させた際には、『新世紀エヴァンゲリオン』を思わせる咆哮が空に響きわたり、その後はまるでロボットアニメのようなメリハリがついた作画のオンパレード。


 サンライズのロボットアニメでよく見られる「勇者パース」が登場したり、真人を追尾する「追尾弾~五重奏~」がロボットアニメの巨匠・板野一郎が生んだ「板野サーカス」の軌道を描いたりと、いくつものサプライズが用意されていた。


 巨大傀儡のデザイン、そして「究極メカ丸絶対形態 装甲傀儡究極メカ丸試作0号」というネーミングからして、芥見下々も原作の時点でロボットアニメを意識していたはず。アニメではその着想がド派手に昇華された結果、名バトルが誕生した形だ。


 また、第35話「降霊」における戦闘シーンも、アニメという表現ならではのアイデアに満ちている。同エピソードでは、一種の降霊術である「来訪瑞獣」の使い手・猪野琢真が呪詛師のオガミ婆と対決。原作ではそれほど長くなかった戦闘シーンに、アニメオリジナルの展開がたっぷり追加されていた。


 とくに猪野が「来訪瑞獣」の2番、霊亀を発動させたシーンは印象深い。これは水を操る能力で、足にまとえば「滑るような特殊な歩法」が可能になる……という設定だが、静止画のマンガではどうしても表現が難しいことは否めないだろう。しかしアニメでは、まるでスケートのように地面を滑る様がスタイリッシュに表現されている。


■芥見下々もアニメに対して絶賛のコメント


 さらに芥見は、『呪術廻戦』公式Xに投稿された放送後コメントにて、同じく35話で描かれた呪詛師・粟坂二良のアクションを絶賛。粟坂の術式である「あべこべ」を連想させる動きが仕込まれていることに触れ、「原作を読んでる人はより楽しめたのでは!?」と興奮を隠しきれない様子だった。


 そしてそれに続く第36話は、一級呪術師・七海建人の独壇場と言えるエピソードだった。七海は呪術高専の補助監督たちが犠牲になっていることを知り、静かに激高。その犯人である呪詛師・重面春太に対して、術式「十劃呪法」を使った強烈な打撃を叩き込んだ。


 原作でも迫力のある場面だったが、アニメでは商業ビルのなかを破壊し、ガラスをまき散らしながら戦闘が行われることに。最後には隣のビルに重面が叩きつけられた衝撃で、看板が折れて降ってくるという演出もあり、より七海の打撃の威力が分かりやすくなっていた。


 原作単行本の情報によると、「渋谷事変」の七海はつねに“時間外労働”の縛りによって強化されている状態。一見過剰とも思えるアニメの戦闘シーンは、むしろ原作を忠実に再現するものだったと言えるだろう。


 今後、ますます激しさを増していく「渋谷事変」での戦い。引き続きインパクト抜群のアクションシーンが見られるはずなので、原作を読んだことがあるファンにとっても必見ではないだろうか。


(文=キットゥン希美)