トップへ

YouTuber藤吉弁護士、人気動画の秘訣 警察とのやりとりも公開して「問題提起したい」

2023年10月17日 11:21  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

弁護士と税理士として多忙を極める中、登録者数16万人を超えるYouTubeチャンネル「二番煎じと言われても【弁護士藤吉修崇】」で活躍する藤吉修崇弁護士(弁護士法人ATB/税理士法人ATB)。「YouTubeで認知を広げて発信力を高め、世の中に提言し続けていきたい」と語る藤吉弁護士に、YouTubeを始めた経緯や人気コンテンツを作るための秘訣などを聞いた。(魚住あずさ)


【関連記事:「16歳の私が、性欲の対象にされるなんて」 高校時代の性被害、断れなかった理由】



●試行錯誤の末に見つけたキラーコンテンツ

ーーそもそもなぜ、YouTubeを始めるようになったのでしょうか



たまたま、久保田康介弁護士のYouTubeチャンネル「kubota」を見て、すごい勢いでコンテンツの再生回数やチャンネル登録者数が増えていたので、同じ弁護士という職業ですし、もしかしたら自分もうまくいくのではと、軽い気持ちで始めました。



その当時は、久保田弁護士と知り合いではありませんでしたが、憧れの気持ちも込めてチャンネルは、その名も「二番煎じと言われても【弁護士藤吉修崇】」です。しかし実際は想像以上に大変でした。



ーーどんなところが大変でしたか



視聴者に見られるコンテンツが分からず、動画を出しても出しても再生回数とチャンネル登録者数が伸びずに苦労しました。



YouTubeの場合、見られるコンテンツはいずれ再生回数が伸びますが、見られないコンテンツは何十本出しても伸びません。つまり、見られるコンテンツを出し続けなければ、再生回数や登録者数は増えない厳しい世界です。





ーー見てもらうために、どんな工夫をしましたか



試行錯誤の中で少しずつ分かってきたのは、キャラが確立されていて多くのファンがついている人のやり方ではなく、コンテンツの中身で勝負するということです。



例えば、弁護士YouTuberとして登録者数150万人を誇る岡野武志弁護士(YouTubeチャンネル「岡野タケシ弁護士【アトム法律事務所】」を運営)には、多くのファンがついていて、広く認知されています。そのため、世の中で話題になっているニュースや問題を弁護士ならではの目線で法律を絡めて解説すれば、多くの人に視聴されます。少しくだけたコンテンツでも、その人間味がファンを喜ばせ、弁護士は敷居が高いと感じている人に親しみを持ってもらえるのではないかと思います。



ただ、私が同じようなことをしても駄目で、私に求められているのは、弁護士としての知識を活かして闘うことでした。手応えをつかんだのは、ドライバーへの交通違反の取締りを検証して、警察官に是正を促すコンテンツ「【削除覚悟】歩行者妨害取締の警察官と弁護士のやり取り全公開」です。





視聴者から提供していただいたドライブレコーダーの映像や警察署に電話する様子などもYouTubeで公開して、手に汗握る弁護士のリアルな姿を見せたことが多くの視聴につながったのだと考えています。メディアで報道されるなど反響も大きかったですし、このコンテンツの公開を機に視聴者からドライブレコーダーの映像など情報提供していただくことも増えましたね。



●YouTubeで儲かるというのは都市伝説

ーーYouTubeは儲かるものでしょうか



大して儲かりません。食べていけるのはほんの一握りの人たちだけで、YouTubeで儲かるというのは都市伝説だと考えてもらっていいでしょう(笑)。



特に今は、YouTube配信への参入者が多すぎて、時間の奪い合いになっている状況です。結局、1人が1日に使える時間は24時間しかないので、どのチャンネルが何分獲得するかという話なのです。



ーー忙しい業務の合間でどのように制作しているのでしょうか



制作体制は4人で、私と一緒に動画に出演している相方の元芸人の正嶋ヒデノヴ、動画の編集者2人です。撮影は、基本的には私が相方の住む大阪に出向き、相方が忙しい時は私1人の場合もあります。企画のほとんどは私が考えて、ざっくりと方向性を決めてから撮影しています。編集はプロの2人に任せています。



目下の悩みは、業務が忙しくて更新頻度が落ちているのと、YouTubeばかりにかまけていると「事務所のみんなが忙しく働いている時に何をやっているのだ」と白い目で見られることです(笑)。



●弁護士と税理士、ダブルライセンスの意味

ーー弁護士と税理士としての活動についても教えてください



代表として弁護士法人ATBと税理士法人ATBを運営しています。弁護士法人の方は私を含めて4人の弁護士が在籍して東京と山梨で依頼者からの相談に対応しています。山梨は一般民事が多く、東京は7~8割がインターネットの誹謗中傷記事の特定や削除の相談です。



私は税理士登録もしているので、税務調査対応などにも携わっています。税法を知っていると弁護士としての業務でも有利だと思います。例えば、裁判での和解金の支払いや相続対応に役立ちますし、顧問対応では弁護士と税理士の両面から提案すると大変喜ばれます。さらにそういう事務所は少ないので、他の事務所との差別化にもつながるのではないでしょうか。



ただ、インターネット問題の相談がここ数年でかなり増えたこともあり、メインは弁護士業務です。



●手探りで取り組んできたインターネット問題

ーーインターネット問題に注力するようになったのはなぜでしょうか



ある芸能関係の仕事をしたことにより、誹謗中傷されたことと、友人の弁護士にインターネット問題は面白いと勧められたためです。



私がインターネット問題に取り組み始めた頃は、第一人者といわれている、神田知宏弁護士や清水陽平弁護士、中澤佑一弁護士などの数名が手がけているだけでした。そのため、事例も少なく、第一人者の弁護士の書籍を読んだり、手探りで対応したりする中で手続きを覚えていきました。今では第一人者の弁護士と一緒にお仕事することもあるので、感慨深いですね。



ーー情報発信する際に気をつけることはありますか



本人を目の前にして同じことが言えるかどうかを考えて欲しいと思います。「本当のことを言っているのだからいいだろう」「表現の自由の範囲内だろう」と考える人もいるかも知れませんが、表現の自由の幅は思っているほど広くありません。





ーーYouTubeと業務のシナジーはありますか



YouTubeが案件獲得に繋がっているという実感は全くありません。ただ、弁護士と税理士として名前を出して情報発信しているので、トラブルを抱えてお悩みの方が、インターネットで弁護士や税理士を探す際には、目にとまりやすい可能性はあります。そういう意味では間接的には効果があるのかも知れません。



ただ、デメリットもあります。誹謗中傷されたり、YouTubeが見られるようになり、外出先で「YouTubeを見ています」とお声がけいただいたり、指さされたりすることもあるので気が抜けません。



YouTubeからは離れますが、先日は、ABEMAに出演して「元参院議員ガーシー(本名・東谷義和(ひがしたに・よしかず))被告は実刑だろう」という解説をしたら、「ガーシーは悪くない」と事務所に苦情の電話がかかってきました。



●登録者数100万人を達成したい

ーーデメリットもある中で、なぜYouTube配信を続けるのでしょうか



私のことを多くの人に知ってもらい、影響力を持ちたいというのが大きな理由です。賛同を得られやすくなりますし、発信力を持って世の中に提言し続けていきたいので、YouTuberとしての活動は長く続けて行きたいと思います。



注力しているインターネット問題においては、近年、海外のサーバー経由での誹謗中傷が発生していて、その特定が難しくなっています。コンテンツ側には海外からのアクセスを弾く運用を希望します。



​​ーー今後の目標はありますか



YouTuberとしてはやはり登録者数100万人は達成したいのと、例えばですが、ひろゆきさんみたいな方とコラボはしてみたいですね。起業家として新しいビジネスをはじめたいとも考えています。



<藤吉弁護士おすすめ動画>












【取材協力弁護士】
藤吉 修崇(ふじよし・のぶたか)弁護士
インターネット上の誹謗中傷問題を多く扱う弁護士。弁護士になる前に、芸能関係の仕事に携わっていたことや自身も誹謗中傷を受けたことがあることから、この問題に取り組むようになった。YouTubeの登録者は10万人を超えている。
YouTubeちゃんねる「二番煎じと言われても」https://youtube.owacon.moe/channel/UCG649yuz_0PadkYGKnJ1Tcw
事務所名:弁護士法人ATB
事務所URL:https://hibouchushou.net/