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女性客だけ「小盛り」提供する飲食店…法的には? 「もう行かない!」怒りの声

2023年10月16日 10:02  弁護士ドットコム

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弁護士ドットコムがLINEで飲食店でのトラブルについて、体験談を募集したところ、多くの反響があった。その一つが、値段は同じなのに男女の客で提供されるご飯の量に違いがあった、というもの。


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ある女性は「よく食べる方なので、定食屋のランチが、女性だとご飯を勝手に小盛りにしているのが腹が立ちます。それなら一言聞いてくれたらいいのにと思います」との体験談を寄せた。



また別の女性の場合、お気に入りの喫茶店のランチメニュー(オムライス)が「極端に小盛りになった」ことをきっかけに、この店に足を運ばなくなってしまった。



「夫婦で行って明らかに私のお皿の量が少ない! 女だからと小食と決めつけんなや! 腹減っとるんや! 小盛りするなら値段も小盛りにせえよ!もちろん言えませんが。大食の男との差額を負担する気にはなりません」



男女で提供される量が少ないという問題は決して珍しくないが、法的にはどう考えられるだろうか。河野晃弁護士に聞いた。



●男女同一料金なのに、ご飯の量に違い

——男女の料金が同じでありながら、断りもなく提供量に違いがある場合、全額返金や差額料金の返金を要求できるのでしょうか?



最近、自分よりたくさん食べる女性が増えてきたように感じるのは、私がおじさんになってきたからなのでしょうか…。実際にはギャル曽根さんのように女性でもよく食べる方もいるわけですが、一般的にはまだまだ「男性はよく食べ、女性は少食」というイメージがあって、一律でそのような対応をしてしまっているお店があるのでしょう。



今回、編集部がアンケートしたところ、このような体験談が複数あったとのことなので、珍しくない事例のようです。正直、今までこういう問題について考えたことはなく、あくまでも個人的な見解ですが、検討してみます。



「法的に返金の要求ができるか?」というご質問に答えると、「返金の要求はできる」となります。なぜなら、同じ値段の同じ商品である以上、可能な限り同じものを提供するということが、店と客の間で「暗黙の了解」になっていると考えるのが一般的といえるからです。



ただし、返金の要求ができるとしても全額ではなく、あくまでも差額ということになります。



——お店側からすれば「うちにはうちのやり方がある。なんで差額払う必要があるんだ。嫌なら来るな!」という意見もあると思います。



お店からすれば、女性に男性と同じ量を提供した結果、たくさん残されて食品ロスが生じているという実情があるのかもしれません。たしかに、店のやり方にはある程度尊重しなければいけないという側面もあります。



現実的な対応としては、お店の人に「男性と同じ量にしてください」と要求することですね。店側もそこで「いや、うちは女性に対しては少なく提供しているんだ」と断られることはないだろうと思います。



もしそう言われたならば「同じ値段を支払っている以上、同じ量にするか、あるいは安くしてください」「少なくした分の差額を支払ってください」などと交渉すれば、店側も応じざるを得ないでしょう。




【取材協力弁護士】
河野 晃(こうの・あきら)弁護士
兵庫県弁護士会所属。2010年弁護士登録。民事事件(中小企業法務・交通事故等)、家事事件(離婚・相続)、刑事事件など、多種多彩な業務を行う。趣味はゴルフ、野球など。日本一話しやすい弁護士を目指す。
事務所名:水田法律事務所
事務所URL:https://www.bengo4.com/hyogo/a_28201/l_137891/