一つのモノ、コンテンツを作り上げるためには、多くの人の力が不可欠であるというのは普通のことだ。それはパチンコの筐体も同様。
しかも今はメーカーの企画だけでどうにでもなるという時代ではない。まず開発にあたって、昨今特に多いタイアップモノの場合は版権チェックも必須なので、相当に時間が掛かるし、版元の協力もこの時点で必要になる。
筐体の生産にあたっては遊技機の工場があり、そこでは雇用している従業員がいる。完成した筐体は梱包されて出荷される。その筐体を配送するにも、やはり専門の業者が必須となる。
かなり端折っての説明になるが、1つの機種が市場に設置されるまでには、最低限これぐらいの人が関わっている。当然そこには相応の雇用も生まれるということになる。
メーカーが機種をリリースするのは売上のためだが、関連する労働者の食い扶持を用意するという意味もあるわけだ。リリースが途絶えると雇用も途絶え、技術の発展、継承もできなくなくなってしまう。
そんなわけで、たまには「これもうちょっとどうにかならんかったか」という変な台が出ることもあるが、それもある意味では必要なリリースだった、とこじつけることもできるだろう。(文:松本ミゾレ)
一方でエンドユーザーは相次ぐ新台ラッシュに辟易?
しかし、僕もパチンコホールに出入りするエンドユーザーなのでメーカーの新台リリースペースには思うところはある。今って台の作り込みも昔とは比較にならないレベルの完成度を誇っているんだけども、肝心のその演出しかり、スペックしかりの部分を堪能し尽くす前に旬が過ぎてしまうのだ。
旬が過ぎるというのは、極めて短期間のうちに新台が準新台となり、準新台が何の看板も持たないただの設置機種になってしまうまでの期間を指す。
ユーザーとしては、せっかく「これは面白いぞ」という台に出会ったとしても、これをしゃぶり尽くして勝った・負けたをアレコレ言う前に撤去されてしまうのは、やっぱり勿体ないと思ってしまう。
それこそ先日、5ちゃんねるにも「パチンコメーカーは新台出しすぎ。新台なんて1年に数台でいいのに」なんて書き込みがあった。
これを書いた人は「新台出すぎはあると思うわ。SEED出たばっかなのにかぐや出るし。スマパチ慶次も早すぎる。三洋みたくスペック違いやリメイクで埋めるならまだしも。その三洋でさえも大海5、わんニャン、咲と新作自体のペースもごっつ早い」と指摘する。
実際、少し前には『機動戦士ガンダムSEED』のパチンコが鳴り物入りで全国導入されたが、どうもスペックがダメだったみたいで大コケしたようだ。いかに版権が強くても結局パチンコユーザーはスペックをもっとも重視する、ということが改めて明らかになった、とも言える。
今ではあっという間にホールから引っぺがされているSEED。しかし世の中にはそんな台でも好きになっちゃった人ってのはいるんだろう。そういう人からすると、台の魅力を堪能する前にホールから消えていくわけだから、消化不良をおぼえるのも無理はない。
僕は今年になってまだパチンコを打っておらずパチスロばかりだが、パチスロに関しても同じことは言える。ほんと、来店するたびに新台が導入されているし。そして新台が入っているということは、元々設置されていた機種のいずれかが撤去されたということ。ハコは変わらないので、自然と陳列している中身を取り換えるということになる。
そうするとやっぱり「あ、もう撤去されたんだ、あの台。まだ数か月しか設置してなかったのに」みたいな機種も出てしまう。SDGsが叫ばれる昨今において、こんなに資源を無駄にする風潮があっていいの? と心配になってしまう部分もあるが、それはそれ。
冒頭でも書いたようにメーカーが台をリリースすることで雇用が維持されている部分はある。それに、新台を導入したいホールもたくさんあるのだ。そしてそのホールには、なんだかんだ新台目当てのお客もまだまだ大勢いるのである。
「新台リリースペースが早い」と文句をつけたかと思えば、「新台打ちたい」と言っちゃうのが客
本スレッドにもそういった新台を求めるユーザーの書き込みがある。ちょっと引用させていただきたい。
「客が飛びつくから仕方ない。SAOだってリングに稼働負けたしそのリングだってかぐや出たらかぐやに稼働負ける。未だに客は新台打ちたがる」
結局これなんだよね。「新台もういいよ」とか言いつつ、なんか新台座っちゃうって人は今も昔も大勢いるのだ。目新しさには勝てないってことなんだろうなぁ。それに新台期間中は「釘が甘いんじゃないかな」と期待して打っちゃう人も多いだろうし。釘が甘い台を打てばそれだけ勝ちやすくなるから、これは全然正攻法の打ち方なんだけどね。