Mスポーツ・フォード・ワールドラリーチームは10月4日、同チームのエースドライバーとして2023年シーズンを戦ってきたオット・タナクとのパートナーシップを今季限りで終了すると発表した。
今シーズン、ヒョンデ・モータースポーツが運営するヒョンデ・シェル・モビスWRTから“古巣”であるMスポーツに復帰したタナクは、ここまで11のイベントをイギリスの名門ラリーチームとともに戦い、計29回のステージウインを記録。なかでも第2戦スウェーデンと先週末行われた第11戦チリでの総合優勝は、チームにとって2023年シーズンにおける最大のハイライトになっている。
シーズン序盤にはドライバー選手権ランキングのトップにも浮上したタナクだったが、その後彼は度重なる不運に見舞われた。それは主にMスポーツのラリー1カーである『フォード・プーマ・ラリー1』のトラブルによって引き起こされ、ときにタナクから優勝争いや表彰台争いのチャンスを奪うこととなった。
シーズン終盤の第11戦チリを終えた時点で、タナクのドライバーズランキングは4位。しかしすでに、2019年王者にとって2度目となるタイトル獲得の望みは絶たれている。
そんななか発表された両者の決別は、双方の合意によって決定したものだという。Mスポーツは声明の中で、「今シーズンだけでなく、これまでのシーズンをともに楽しんできた彼らのプロフェッショナリズムと献身に感謝するとともにオット・タナクとマルティン・ヤルヴェオヤ、ふたりの今後の活躍を願っている」としている。
また、今シーズンはまだ『セントラル・ヨーロピアン・ラリー』と『ラリージャパン』がWRCのカレンダー残っているが、チームとタナクはこれまでと同じ献身、情熱、熱意を持って、シーズン残り2戦を戦っていくことが確認された。
「Mスポーツ・フォードWRTとともに過ごした1年はあっという間だった」と語ったタナク。
「トヨタやヒョンデのような大きなメーカーを相手にふたつのラリーで勝利できたことを誇りに思う。また、シーズン序盤はチャンピオンシップ争いに加わることができた」
「しかしこのスポーツはタフで、残念ながら何度か挫折を経験した。それでも、すべてのスタッフが僕たちに最高のチャンスを与えようと懸命に努力してくれた! これからもMスポーツ・ファミリーの皆にとって、良い戦いが続くことを願っている」
タナクの古巣復帰に尽力したMスポーツのチーム代表、リチャード・ミルナーは「今シーズン、オットやマルティンと一緒に仕事ができたことは幸せだった。彼らがMスポーツに戻ってくるという夢を実現させるために、多くの仕事があった」とコメント。
「残念なことに、物事が思いどおりに進まないこともある。今シーズン限りでチームを去るという彼らの決断は、我々が受け入れるべき結果であり、一方で2024年に向けて何ができるかを考える必要がある」
チーム創設者兼マネージングディレクターのマルコム・ウィルソンは、「まずはオットとマルティンの今シーズンの努力に感謝したい」と述べた。
「今季は開幕戦モンテカルロでの総合5位、スウェーデンでの優勝と、とても良いスタートを切ることができた。その後は厳しい戦いが続き、チリでは信じられないような結果を残したにもかかわらず、私たちが夢見たような1年は実現できなかった」
「オットがわずか1シーズンで去ってしまうのは、私個人としては非常に残念だが、彼の成功を祈っている」