トップへ

『SLAM DUNK』桜木花道はなぜモテない? 高スペック主人公が抱えていた致命的な“弱点”

2023年10月04日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

井上雄彦の公式Xより @inouetake

『SLAM DUNK』が大人気マンガとなった理由として、主人公・桜木花道の存在が大きな役割を担っていたことは誰もが認めるところだろう。その魅力は作中のキャラクターのみならず、今でも多くの読者を惹きつけてやまない。しかしそれにもかかわらず、彼には「女性から絶望的なまでにモテない」という一面があった。


(参考:【写真】かっこよすぎ!花道、流川、三井、リョータ、赤木の湘北ユニフォーム姿


  桜木はマンガの主人公にふさわしい資質をいくつも持っている。高校入学時点で身長188cm、体重83kgという恵まれた体格をしており、スポーツのセンスも抜群。バスケットボールの未経験者でありながら、パワー・スピード・ジャンプ力・スタミナなどあらゆるフィジカル面でライバルたちを圧倒していた。


  そして性格は裏表が一切なく、底抜けに明るいのが特徴で、湘北高校バスケットボール部のムードメーカーを担当。一見不真面目に見えるが、仲間思いで努力家なところがあり、どう転んでも周囲の女性にチヤホヤされそうだ。


 しかし現実には桜木は、伝説級にモテなかった。中学時代の3年間、女性にフラれ続け、その数が累計50人に達したという逸話があるほどだ。なぜそんな悲劇が生まれてしまったのだろうか。


 理由として真っ先に思いつくのは、桜木が札付きの不良だったことだろう。桜木はバスケットボール部に入る前、中学時代から「桜木軍団」と呼ばれる仲間とつるみ、暴力に明け暮れる日々を過ごしていた。 頭突きを得意とするなど喧嘩はめっぽう強く、その経験値がスポーツマンとしての桜木を育てた一面があることは否定できない。だが、お礼参りとして家に不良集団が襲撃に来るほど過酷な生活だったそうなので、その評判を知っていれば、よほど勇気がないかぎりはお近づきになることを避けてしまうだろう。


■数え始めると切りがない、桜木がモテなかった理由


  そしてもう1つの致命的なモテない理由として、「好みのタイプ」が災いしていた可能性は高い。桜木は赤木晴子に初めて会った時の第一印象で「モロ好み」と言っていたため、彼女のような清楚そうな見た目の女性がタイプだったのだろう。それまでアプローチを行ってきた相手も、ほとんどが清楚系だったのかもしれない。


  そうした真面目な女性が、家に不良が押し掛けてくるような人物を受け入れてくれるとは考えにくい。同じような素行の不良少女なら結ばれる可能性があったところで、あえて無理そうな相手を選んでいたため、「50人にフラれる」という逸話が生まれてしまったのではないだろうか。


  また、それ以外の理由としては、桜木が“軟派な性格”に見えていた可能性も。3年間で50人に告白したということは、平均すれば1カ月に1人以上のペースだ。しかもおそらくは、好きになった時点で即告白という手法を取っていたものと思われる。


  それほどまでに見境なく恋愛を求めていた姿が、周囲に軽薄なイメージを与えていたのかもしれない。実際にはかなり一途な性格であり、告白を繰り返したのも「好きな娘と一緒に登下校する」というピュアな夢を叶えることが目的だったのだが…。


  とはいえ、桜木はバスケットボールに打ち込むようになり、人間として大きな成長を果たした。晴子に対して一途なのでありえないことだが、もしその気になれば50人にフラれることは二度とないだろう。


  問題は肝心の晴子と上手くいったかどうかだが、本編では結局最後まで流川楓との三角関係の行方が描かれずに終わっている。ただ、2004年に旧神奈川県立三崎高校で行われたイベントでは、書き下ろしの黒板漫画「あれから10日後-」が発表され、本編終了後の桜木が晴子と文通していることが明かされていた。


  ことごとく恋愛運がない桜木に、モテ期が訪れる日は来るのだろうか…。


(文=キットゥン希美)