出張時には、思わぬトラブルに見舞われることもある。東京都の50代後半の女性(企画・マーケティング・経営・管理職/年収700万円)は、数年前のスイス出張でのできごとを振り返った。
「チューリッヒから国内線でジュネーブへ移動。その後、電車でモントルーの予定を組まれていた。国内線の乗り継ぎまで数時間。『これならチューリッヒから電車のほうが早かった』と思いながら待つ。その後、ジュネーブが大雪で封鎖中ということで、さらに待つ。(中略)チューリッヒからジュネーブは飛行機で1時間かからないが、待ち時間が5、6時間となってしまった」
慣れない土地で、本来は1時間で済むはずの移動時間が5、6時間もかかったら、疲れてぐったりするだろう。しかも、トラブルはこれで終わらなかった。(文:福岡ちはや)
「レーンを回る最後の1個が流れても、私の荷物がない!」
女性がジュネーブに着いたときには、すっかり夜になっていた。早くホテルで疲れを癒したいところだが、手荷物受取所で待っていても、なかなか荷物が回ってこない。
「レーンを回る最後の1個が流れても、私の荷物がない!カウンターで確認。な、なんと、私の荷物は、このあとの飛行機に乗せており、そのフライトは本日欠航となったということ。えええええ~~~~!手荷物は仕事関係の資料とパソコンだけ。生活用品や着替えはなし」
ただ、荷物を載せられた便が欠航になったのは不幸中の幸いだったと言える。航空会社の「(荷物は)ホテルに届ける」という言葉に半信半疑になりつつも、女性は仕方なくホテルに向かった。初めての街で夜中に女1人。「怖いぞ!」とビクビクしながらも、なんとかホテルに着いた女性だったが、そこでも予想外のトラブルが待ち受けていた。
「フロントで名前を告げる。待っている間、疲れ切ってソファーでぐったり。しばらく待たされた挙句、フロント係より『あなたは明日チェックイン予定になっている』と言われ、『えええええ~~~~~』と声に出し、愕然とする」
スイスの本社の手配ミスだった。こんな夜中に、知らない海外の土地で生活用品や着替えもなく、外に放り出されたら……。考えただけでゾッとしてしまう。
「も~~~、着替えもないし、明日は朝から会議だし……」
ホテルマンは女性を気の毒に思ったのだろう。「大丈夫、部屋はあるから」と女性が泊まる部屋を確保してくれ、最悪の事態は免れた。なんとかなってよかったが、腹立たしいことに、ホテル内には先に到着した上司や他のメンバーの宴会の声がどこからか響いていたという。
「とりあえず0時過ぎ部屋に入り、上司に電話。できあがってる(怒)『もう!ビールでも飲んで寝よう』と冷蔵庫を開けたらない!も~~~、着替えもないし、明日は朝から会議だし……。もうとにかく疲れて寝る」
翌朝、出張の目的である会議は、女性が資料を手元に持っていたおかげで無事終わらせることができた。その後、女性は着替えなどの必要なものを現地調達するため「買い物しようかな」と考えたが、その日は日曜日でほとんどの店が閉まっており、もう荷物の到着を待つしかなかった。「踏んだり蹴ったりの繰り返し」と嘆く女性、これは荷物がホテルに届くかどうかも怪しいのでは……。
しかし、神は女性を見捨てなかった。
「昼頃、部屋をのぞいてみたら、私のスーツケースがホテルの部屋にポツリと置かれていた。『本当に届くんだ』と、とにかくホッとした。怒りより安堵感が先に来たという」
ただ荷物が当たり前にホテルに届いただけなのだが、不運続きだった女性は「スイス航空、やるな!」とポジティブに捉えることができたそうだ。
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