2023年09月29日 20:31 弁護士ドットコム
居酒屋としても人気のラーメン店「博多ラーメン・でぶちゃん」(東京・高田馬場)が、予約の「無断キャンセル」の被害にあったとして、グルメサイトを通じて予約を入れた人に対して法的措置をとる考えを示した。
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店主は9月29日、弁護士ドットコムニュースの取材に「飲食店は売り手がまだ弱い業界です。毅然とした対応によって、無断キャンセルはよくないという意識を広めていきたいです」と語った。
無断キャンセル(ノーショウ)の被害にあったのは、東京・高田馬場にある「博多ラーメン・でぶちゃん」。店主の甲斐康太さんによると、7月11日から9月19日まで、グルメサイトを通じた予約が、5回にわたって無断キャンセルされたという。
いずれも同じアカウントによるもので、1回につき10人分を予約していた。その時間帯の客10人分の機会損失が生じたことになる。
甲斐さんは「イタズラの可能性も捨てきれないが、ポイント稼ぎを狙ったものではないか」と指摘する。
甲斐さんによれば、このグルメサイトでは、無断キャンセルが生じた場合でも、店側がキャンセル処理をしなければ、アカウントにグルメサイトのポイントが加算されるのだという。
「(予約を入れた人は)予約時に、当日キャンセルは1人につき3000円という『キャンセルポリシー』に同意しています。5回(毎回10人)だと、15万円。それとは別にもらっている予約料を加えて、少なくとも16万円を請求します」
不正に得たポイントを使用していれば、グルメサイトからもペナルティが課されるべきではないかとも考えている。
予約時点で利用者の連絡先はわかっている。直近の無断キャンセルがあった9月19日、甲斐さんはその携帯番号に連絡したという。
「電話に出たのは男性でした。ただ、話があまり噛み合わず、『電話の調子がわるい』とか、『連絡しようと思ったんですけど、身内にコロナも出て』などと話していました」
店の顧問弁護士の中川素充さんによると、「でぶちゃん」は都内に5つの飲食店を展開しているが、ほかの店でも無断キャンセルは発生しているという。そちらについても賠償請求をしていく考えだ。
「グルメサイトを通じた予約なので、電話番号はわかっています。携帯に電話したり、SMSで『弁護士ですが…』と連絡することはありえますが、応じない人もいるので、最後は法的措置まで辞さない。損害賠償の実績をつくることで、無断キャンセルはよくないという認識を世に広げなければいけないと考えています」(中川素充弁護士)
今月上旬、SNSで「ラーメンの背脂は有料か無料か」との議論が起きたときに、甲斐さんはX上で「なんでも無料だと思っているのか」と持論を展開したため、その投稿には批判も生じた。
「飲食は『買い手』(客)のほうがまだ強い業界です。私は『売り手』(店)が買い手にものを言える世の中になってほしいと思って、好き勝手にSNSで発信しているので、恨みも買いやすい人間だとは思いますが、今回は毅然と対応していきます」(甲斐さん)