ここ数週間、WEC世界耐久選手権のストーブリーグが活発化している。元F1ドライバーやトップレベルのスポーツカードライバーたちが、2024年のハイパーカークラスに参戦することを目指しているようだ。
この“椅子取りゲーム”は、ル・マン・ハイパーカー(LMH)とLMDhというふたつのプラットフォームが世界選手権に参戦可能となって2シーズン目を迎えるにあたり、新たにアルピーヌ、BMW、ランボルギーニのファクトリー・エントリーが加わることで加熱しているものだ。2024年には、これら新マニュファクチャラーのおかげで、20台以上がフルシーズンエントリーするクラスとなる予定だ。
■ミック・シューマッハーはアルピーヌと交渉中
現在、カスタマーとしてポルシェ963を走らせているハーツ・チーム・JOTAもこのサイクルの中心にある。彼らが来季は2台目のポルシェ963を追加し、元F1ドライバーで構成される豪華な顔ぶれをそろえる可能性が浮上してきているのだ。
ドイツの大手メディア『アウト・モーター・ウント・シュポルト』は先週末、4度のF1ワールドチャンピオンに輝いたセバスチャン・ベッテルが、2009年のF1王者であるジェンソン・バトン、ELMSの2021年LMP2王者であるロバート・クビサとともに、JOTAからレース活動へ復帰する可能性について交渉しているというニュースを報じた。
このニュースが報じられる数日前、JOTAの共同オーナーであるサム・ヒグネットは『Sportscar365』に対し、元F1チャンピオンのキミ・ライコネンとバトンが、ハーツがスポンサードする2台目のポルシェ963のシートを狙っているという噂を否定していた。
また、来季新たに加わるLMDhマニュファクチャラーでも、少なくともひとりの元F1ドライバーを迎える可能性がある。アルピーヌのチームボスであるブルーノ・ファミンによると、ミック・シューマッハーがアルピーヌと交渉中であることが確認されている。
フランスの『エンデュランス・インフォ』によれば、フェルディナンド・ハプスブルクも、ニコラ・ラピエールやチームのLMP2ドライバーであるシャルル・ミレッシ、マシュー・バキシビエールとともに、アルピーヌA424のシートを狙っている可能性があるという。
既存のラインアップからの変更点としては、プジョー9X8陣営のグスタボ・メネゼスが離脱しストフェル・バンドーンが加わることが明らかになっているが、さらに『Motorsport.com』はトヨタではホセ・マリア・ロペスが離脱し、チームの元リザーブドライバーであるニック・デ・フリースが後任を務める可能性があると報じている。
しかし、直近の富士ラウンドでチームディレクターのロブ・ロイペンが語ったところによれば、最近ハーバード大学で勉強を始めたデ・フリースが2024年にトヨタのラインアップに加わる可能性は低いとされている。
もしロペスがトヨタGR010ハイブリッドのプログラムから外された場合、ASPがLMGT3クラスで走らせるかもしれないレクサスRC F GT3の1台に乗る可能性があるものと、Sportscar365は理解している。
また、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツでも少なくともひとりのドライバー変更の可能性が噂されており、カスタマーチームとの間でドライバーの交換が行われる可能性がある。
アントニオ・フェリックス・ダ・コスタと、来年フルワークスに昇格すると見られているイェ・イーフェイは、ロジャー・ペンスキーが率いるファクトリーチームの目に留まったと見られているが、両ドライバーが現在所属するJOTAとの契約状況は不明だ。
ランボルギーニ・アイアン・リンクスも来年はハイパーカーでフルシーズン参戦する予定だが、噂されているドライバーのひとりであるGT3界のスーパースター、ラファエレ・マルチェッロがBMW MチームWRTの新ファクトリーチームに参加するために契約を解除しようとしていると報じられている。
もしこれが実現すれば、WRTにおけるWEC参戦が有望視されていたドライバーのひとりが、代わってBMW MチームRLLのIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のプログラムに参加することになるかもしれない。
現在のところ、レネ・ラスト、ロビン・フラインス、ドリス・ファントール、マキシム・マルタン、シェルドン・ファン・デル・リンデ、そしてフォーミュラE世界チャンピオンに輝いたばかりのジェイク・デニスらが、BMWのWECラインアップを形成する可能性があると見られている。
来年、これらの噂の一部、あるいは大半が実現すれば、WECにスター選手が加わる可能性があると言えるだろう。