2023年09月20日 10:01 弁護士ドットコム
静岡県の中山真珠県議が9月6日付で辞職しましたが、その理由は「無免許運転」の発覚でした。
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報道によると、中山元県議は2023年8月、静岡市内を運転中に警察の事情聴取を受けた際、5月中旬に運転免許が失効し、無免許運転だったことが発覚。その後、無免許のまま複数回運転していたことや、所属会派の聞き取りに「無免許の認識はあった」と説明していたことが明らかにされています。
また、島根県益田市の職員がこのほど、運転免許を失効した状態で車を運転したとして、無免許運転で摘発され、1カ月の減給処分(10分の1)を受けました。失効したことに気づいていたにもかかわらず、「期限切れから半年は運転できると勘違いしていた」と釈明したそうです。
免許が失効していたケースだけでなく、一度も免許を取得したことがないケース、普通免許で大型トラックを運転したケースなどは、いずれも無免許運転に当たります。
違反すれば「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」となる可能性があります(道路交通法64条1項、117条の2の2第1項1号)。また、違反点数は違反前歴がなくとも1発で免許取消しとなる「25点」となっており(道交法施行令別表第2)、かなり重い処分が定められています。
多くの人は通常、自動車学校(教習所)に通って、時間とお金をかけて免許を取得します。実際問題として、その労力が吹き飛んでしまうことも痛手でしょう。
免許更新は「誕生日の前後1カ月」に済ませないと失効します。無免許運転にならないためにも絶対に失効を避けたいところですが、さまざまな事情で更新できない場合もあります。そんな時でも諦めるにはまだ早いかもしれません。
道交法は、免許の有効期間が過ぎて失効しても、一部試験を免除して再取得できる「救済策」を用意しています。
海外旅行、被災、入院など「やむを得ない理由」があり、有効期間が過ぎてから「6か月以内」の場合は、学科・技能試験が免除され、視力検査などの適性試験と講習の受講だけで、再取得できます。免許の経歴を再取得後の免許に引き継ぐこともできるため、たとえば「ゴールド免許」を継続することが可能です。
単に仕事が忙しかったり、更新期間を忘れていたなどは「やむを得ない理由」に当たりません。
やむを得ない理由があって、有効期間が過ぎてから「6か月超3年以内」でも、やむを得ない事情がやんで1か月以内に限っては、同様の再取得が可能です。失効前にやむを得ない理由が発生していることが条件です。
一方、「やむを得ない理由」がなくても、有効期間が過ぎてから「6か月以内」の場合は、学科・技能試験免除で再取得できます。しかし、やむを得ない理由がある場合とは異なり、免許の経歴を再取得後の免許に引き継ぐことができないため、「ゴールド免許」の継続はできません。
やむを得ない理由がなく、有効期間が過ぎてから「6か月超1年以内」の場合は、学科・技能試験免除で取得していた運転免許の「仮免許」の交付を受けることができます。「本免許」は取り直すしかありませんが、「更新を怠ったツケ」というほかありません。
ただし、失効中に無免許運転したなどの事情があった場合、「救済策」での再取得が認められません(道交法97条の2第1項3号・道交法施行令34条の3第2項)。
中山元県議のケースも、失効後に再取得しなかった理由は不明ですが、本人に「無免許の認識はあった」と報じられていることから、仮に無免許運転として検挙された場合には、再取得の道は閉ざされます。