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牛丼店の紅ショウガ袋、両手にごっそりと…調味料「大量持ち帰り」は無料でもマナー違反? それとも法律違反?

2023年09月17日 09:11  弁護士ドットコム

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スーパーで用意されている「醤油」の小袋や、テイクアウト可能な飲食店の小分けの調味料を大量に持って帰る人がいる。


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30代の会社員男性は「チェーン店で牛丼を買ってテイクアウトするときに、紅ショウガの小袋を両手いっぱいに持って帰ります。『ご自由にお持ち帰りください』と書いてあるから問題ない」と話す。



弁護士ドットコムのサイトにも、スーパーで購入した際、店員に許可をもらうことなく醤油の小袋を持ち帰るという人から「窃盗罪になりますか?」と心配する相談が寄せられている。



無料であっても、大量の調味料を持ち帰る行為が「犯罪」にあたるのだろうか。清水俊弁護士に聞いた。



●窃盗罪が成立することもありえる

——無料の醤油を大量に持ち帰ることが、罪に問われる場合もあるのでしょうか



窃盗とは、占有者の意思に反して、物の占有を奪う行為です。



今回は、無料提供している調味料の持ち帰りに関して、スーパー・飲食店の意思が問題となります。



通常、店側としては「買い物した商品を消費する目的」の範囲で調味料の無料持ち帰りを許容しています。



そのため、購入した商品と調味料がまったく関係なかったり(たとえば、缶コーヒーを買ったときに醤油小袋を持ち帰るようなケース)、ストック用や詰め替え用の容器に入れたりする目的で大量に持ち帰ることまでは許容していないと考えられます。



たとえば、お寿司の握りセットを1つ購入したのであれば、小分けの醤油は1つあれば足りるでしょう。人によっては、2~3つ必要な人もいるかもしれませんし、塩で食べる人は小分けの塩を持ち帰るかと思いますが、そのあたりは社会通念上許容されると考えられ、「大量」にはあたらないのではないでしょうか。



しかし、そのような範囲を超えて、購入した商品の種類や数におよそふさわしくない量の調味料を持ち帰れば、店側の意思に反した財物の窃取となり、窃盗罪が成立すると言えます。



また、店側で「1商品に対して1個まで」などと使用の個数や目的が明示されていたのであれば、店側の意思が明確となっていますので、窃盗罪の成否もより判断し易いでしょう。



ただ、現実問題としては、たった1回の行為で犯罪として立件されることはまれだと思います。大量持ち帰りを何度注意しても止めず、「ブラックリスト」入りした客の場合に、悪質な行為として立件される可能性があります。



——冒頭で紹介したケースのように『ご自由にお持ち帰りください』と明示されていれば、どれだけ大量に持ち帰っても罪にならないのでしょうか



「ご自由に」というのは「無償で」という意味であって、量的な自由を意味しないのではないかと思われますので、基本的には同様の問題を孕んでいるのではないでしょうか。




【取材協力弁護士】
清水 俊(しみず・しゅん)弁護士
2010年12月に弁護士登録、以来、民事・家事・刑事・行政など幅広い分野で多くの事件を扱ってきました。「衣食住その基盤の労働を守る弁護士」を目指し、市民にとって身近な法曹であることを心がけています。個人の刑事専門ウェブサイトでも活動しています(https://www.shimizulaw-keijibengo.com/)。
事務所名:横浜合同法律事務所
事務所URL:http://www.yokogo.com/